ママが泣いた日


2006.9.7 まるでポッキー四姉妹だ 【ママが泣いた日】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
怒る母親。情緒不安定?というか、なんにでも過敏になり嫌味をいう母親。それなりに原因があるのだろうが、周りが母親をまるで腫れ物にでも触れるような扱いをする。客観的に見るとそれほど母親の怒りが理不尽なものには感じない。世間にはもっと理不尽なことで怒り、ヒステリックになる母親も多いだろう。そんな母親を取り巻く四姉妹と近所の元メジャーリーガー。個性豊かな四姉妹というのは何かにつけて描きやすいのか?ポッキー四姉妹のようにパロディにされやすい、ちょうど若草物語のようにも感じてしまった。

■ストーリー

ウルフマイヤー家の四姉妹の母テリーは心優しい好人物だった。3年前、夫が秘書と駆け落ちするまでは。以来、片時もアルコールのグラスを手放さず、事あるごとに怒りをぶちまけるようになる。その傍若無人な態度は娘たちも手を焼くほどだが、近所に住む元メジャーリーガーのデニーだけは、持ち前の鷹揚さでテリーの支えになろうとするのだった。父不在のまま時は経ち、姉妹は、就職、結婚とそれぞれに進むべき道を見つけるのだが…。

■感想
典型的なアメリカの中流階級というのだろうか。娘達が料理し、家族で食卓を囲む。そこには平和に見えて実はその奥底には根深いストレスの元が隠されている。そしてそれが母親という触媒を解して爆発してしまった。そんな感じかもしれない。しかし嫌味な母親といっても、もっとひどいのはいくらでもいる。この程度ならば、ある意味許容範囲だろう。母親の暴走を娘達がハラハラしながら見守る姿は、そこだけ親子関係がまったく逆転しているような、そんな印象さえ残っている。

元メジャーのデニーやラジオのディレクターなど家族のまわりに登場する男達は、それぞれ個性も強いし、重要な役割を担っているはずだが女達に負けている。特にケビンコスナーはとても良い近所の親父を演じているのだが、アクがないというかキャラクター的に弱いような気がした。とても重要で印象深い役なのだが、それをあえて相手を立てるために存在感をなくしているのではないかとすら思った。

結末間近で娘のナレーションが登場するところを見ると、どうやら本作は娘目線の作品だったのかもしれないと今更ながら気づいた。子供から見た親というのは偉大だが、親が理不尽な怒りやヒステリックな部分を見せると、なぜかとたんに自分が子供というのを忘れ、親をかばう気持ちになってしまう。そんな気持ちから夫に逃げられた母親を暖かく見守る作品に思えた。

ホームドラマの典型のような家庭の中で繰り広ろげられるドラマ。シリアスかと思いきやコメディチックな部分がとても多く、中でもラジオのディレクター絡みの場面ではニヤリと笑える場面が多数登場し、十分楽むことができた。



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