メイドインマンハッタン


2006.9.13 まさにシンデレラだ 【メイドインマンハッタン】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
シンデレラストーリーというのは、貧しいシンデレラが一夜にして王子の心を射とめることで、本作はまさにそのとおりなのだが、そうなるにはそれなりの必然性が必要になってくる。本作では偶然セレブと勘違いされたという出逢いのきっかけはあるにせよ、その後の展開には性格や教養によるところが大きい。目標に向かってがんばる姿も美しく、最後の展開はあまりにご都合主義的だと思ったが、強引にハッピーエンドにするにはこの方法しかなかったのだろう。メイドの過去にまったく触れられていないのはこの物語を最後まで美しく純粋なものにする必要があったからだ。余計な現実は見ないにかぎる。

■ストーリー

マンハッタンの高級ホテルで働くメイドが、ひとつの嘘をきっかけに、未来の大統領候補と言われる政界のサラブレッドと恋に落ちる。メイド仲間や彼女を見守るバドラーなど、華やかな高級ホテルの裏側を支える人々の強力な連帯感がそこには存在する。嘘から始まった恋は果たして成就するのだろうか…。

■感想
メイドという仕事は日本で言う掃除のおばちゃんのことかと思っていたがそうではなく、客の要望はできる限りなんでも聞く、本当にメイドのような存在なのだろう。メイドからいきなりマネージャーに出世できるのもアメリカらしいといえばアメリカらしい。そしてメイドに対して何でもかんでも頼むセレブの存在もアメリカらしいが、セレブであれば日本も同じなのかもしれない。メイドという見慣れない職業を理解するのに最初は少し苦しんだ。

シンデレラストーリーの王道ともいえる展開で、最後には重ねてきたウソがばれてしまう。途中で何度となくウソを告白するチャンスがありながらもウソをつき通している姿を見ると、ハラハラする気持ちと、なんで今全てを明かしてすっきりしないのかという混乱した気持ちで見てしまった。いずれバレ、もっと大騒ぎになるのは目に見えているのに・・・、しかしこうしなければ物語として面白さに欠けてしまう。

将来有望な政治家。このサラブレッドがまさに非の打ち所のない人物だ。いくら美しいからといっても子持ちの女にいきなり惚れるだろうか。そして素性がわかった後も、気持ちを貫き通すことができるのだろうか。素性や境遇で差別しないというのも本作の隠れたテーマなのかもしれないが、
いきなり子持ちというのはさすがにハードルが高いと思った。

最終的にはかなりアクロバティックな方法で強引に進めた感はあるが、普通に進めていくと二人の関係を修復することはできない。これくらい突飛でありえないことがなければ周りも納得しないのだろう。

最後にはマネージャーになるという夢はどこかに置き去りにされたが、さらに上の幸せをつかめたから良いのだろう。



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