リトル・ミス・サンシャイン


2007.9.11 ジワジワと心にしみる 【リトル・ミス・サンシャイン】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
それぞれ悩みを持った家族が娘のミスコンのためにカリフォルニアに向かうというロードムービー的な作品。ちょっとぽっちゃりのオリーブや沈黙を守る兄、そして自殺未遂の叔父など、面白エピソードの材料には事欠かない。皆が娘のために一丸となってオンボロ車でカリフォルニアに向かう。失われた家族の絆がだんだんと修復され、最後には家族が一つになる。お涙頂戴の感動や、壮大なカタルシスはないかわりに、ゆっくりとそしてジワジワと心の中に染み渡ってくる。バラバラになった家族が一つになるにはこんな奇跡が必要なのだろう。

■ストーリー

田舎町アリゾナに住む9歳のオリーブ。なんともブサイクでおデブちゃんな彼女が、全米美少女コンテストでひょんなことから地区代表に選ばれた。オリーブ一家は黄色のオンボロ車に乗り、決戦の地カリフォルニアを目指すことに。人生の勝ち組になることだけに没頭する父親、ニーチェに倣って信念で沈黙を貫く兄、ゲイで自殺未遂の叔父、ヘロイン吸引が原因で老人ホームを追い出された不良ジジイ、そしてバラバラ家族をまとめようと奮闘する母親。そんな落ちこぼれ家族の、奇妙でハートフルな旅が始まった……!

■感想
この家族がありえないほど個性的だ。美少女コンテストに参加するオリーブは、客観的に見てそれほど可愛くはない。しかし、親ばかというのだろうか、両親や祖父は誰一人としてそのことには触れない。自殺しかけたゲイの叔父に、反抗期まっさかりのような無口な兄。こんな家族と共に、クラッチがきかなくなったオンボロのバンでカリフォルニアまで向かう。もうそのことだけで、なんだかクスリと笑いがこみ上げてくるような展開だ。

一つの目標に向かって家族が一丸となる。いやいやながら参加する叔父や兄を含めて、家族一丸となるにはそれなりの理由が必要だ。皆がオリーブのために必死になる。もちろんその過程には様々なできごとがあり、これが本作のメインなのだろう。ほのぼのとした中に、なんだか元気がわいてでるような啓蒙的な部分も感じられた。なんてことないことでも、皆で協力し、ボロボロの車で目的地に向かう姿を見ると、心打たれてしまう。

あちこちにちりばめられているユーモアと、バラバラな家族を再認識させるようなシリアスな描写。それらがバランスよく配置されているために、完全なお笑いでもなく、深刻なヒューマンドラマでもない。特に最後はユーモアを前面に押し出し、何も解決はしていないようだが、家族を一丸にさせる力はある。オリーブの純粋さと道中のアクシデントによって、気持ちが盛り上がり、
すべてが開放されたような気分だろうか。

そう簡単にバラバラの家族が一つになるとは思えないが、この家族を見ていると、なんでもできそうな気がしてくる。



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