工学部・水柿助教授の日常 


2006.2.6 日常が小説になるなんて 【工学部・水柿助教授の日常】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
はたして本作は森博嗣の日常なのだろうか。恐らくそうなのだろうが、日常を小説家することで本を出版できるのはとてもすごいことだ。それだけ需要があるからであり、森博嗣の絶大なるファンが読むのだろう。いつもの森博嗣作品のような鮮やかなミステリーを想像していると、がっかりするだろう。作品だけでは知ることができない作者の人となりを詳しく理解できるという意味では良いのだろうがそれは作者のファンにしか当てはまらないと思う。森作品ファンならば読んでみるのもいいかもしれない。

■ストーリー

水柿君33歳。のちにミステリィ作家となるが、今はN大学工学部助教授である。いつしか自分の身の回りで起こる何気ない細やかな不思議を、妻須磨子さんに披露するようになっていた。今日もまた、あれが消え、これが不思議、そいつは変だ、誰かなんとかしろ。謎は深まるばかりだ。

■感想
助教授の仕事というのは作者の作品の中にもいくつか登場しているので、なんとなくだが想像できる。しかしプライベートな部分に関しては知ることができなかった。本作を読むことでどんな人物でどんな過去をすごしてきたのか、またどんな趣味趣向があるのかというのがなんとなくだが理解できる。これを面白いと思うか、思わないかは作者の作品に心底ほれ込んでいるかいないかにかかっていると思う。

ミステリーを期待してしまうと、かなりガッカリするのだが最初から趣旨を理解していればこれはこれで面白いと思う。奥さんとの馴れ初めなどは、普通の人でもちょっと気になったりするくらいなのでこれが有名作家の話となると、その作家の作品を読んだことがある人であれば多少は興味を引かれるだろう。

作者の趣味趣向も一種独特のものがあり、今で言うオタク思考全開である。そのオタク趣味が作品にも大いに影響しているようで、過去の作品で扱った素材が実は作者の趣味の一部だったというのが本作を読んでわかった。

今後このシリーズは続いていくのだが、読み続けるかどうかは人それぞれで僕は本作でおなかいっぱいなので恐らく続編を読むことはないだろう。



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