キリマンジャロ


2007.5.8 韓国映画=激しいバイオレンス 【キリマンジャロ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
韓国映画=激しいバイオレンスというイメージが定着してしまうほど、激しいバイオレンス描写が登場する。それが必ずしも必然性があるかというとそうではない。独特な閉塞感と暗く欝になりそうな雰囲気。すべての登場人物が明るく楽しい人生を過ごしているとは思えない。飛び散る血、激しい暴力。本作の目的が双子の弟に間違えられた兄の自暴自棄な行動とするならば、この救いようのない結末もある意味正しいのかもしれない。ハリウッドの激しいバイオレンスとはまた違う、空気感からして暗く、暴力に満ち溢れている。

■ストーリー

刑事のヘシクは双子の弟でヤクザのヘチョルをある事件の容疑者として追い詰めるが、ヘチョルはヘシクの銃を奪って自殺してしまう。それが原因で解職されてしまたヘシクは、弟の遺骨を持って故郷へ帰るが、ヘチョルと間違えられたことからある抗争に巻き込まれていく。

■感想
見るときの精神状態によってはとんでもなく落ちるかもしれない。それほど救いようのない悲しさというか、暴力に満ち溢れた作品だ。方や刑事、方やヤクザ。一卵双生児と思われる二人が一人になったとき、失われた片われを求めるように、そのままヤクザのまねをする元刑事。それに一体どんな意味があるのだろうか。母親にかわいがられ印象深いヘチョルになりたいという気持ちからだろうか。ヘシクに対する哀れみだけが無性に心に残る。

ヘチョルの仲間たちとヘチョルと相対する組織。対抗組織だけがヘシクの正体を知り、仲間たちはヘシクをヘチョルと勘違いする。そこにはヘシクの仲間ができたという思いと、弟の敵を討ちたいという強い気持ちが現れているような気がした。しかし、仲間を犠牲にしながら敵対組織に絡んでいく部分では、自虐的をとおりこして死に急いでいるように見えた。

目的がないまま仲間と共に過ごす生活。血みどろの結末といい、
閉塞感たっぷりな雰囲気といい救いようのない展開の中、かすかに見出す幸せとすれば、双子の弟の仲間たちと短期間の間に仲間になり、最後まで行動を共にするということだろうか。双子でありながら疎遠であった弟の気持ちをここへ来て初めて理解できた兄。一卵双生児としての現実をはっきりと理解できた場面なのだろう。

韓国映画らしいといえばらしいが、見る人を選ぶ作品であることは間違いない。



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