2005.6.1 男女の性差について真剣に考えた 【片想い】
■ヒトコト感想
男と女の性差について真剣に考えさせられた。
半陰陽や性同一障害の人の気持ちなど触れることのできなかった部分に触れた作品。
正直、今まで真剣に考えなかったことなのでわりと衝撃を受けた。
何か啓蒙的な作品のような気がするので、ミステリー部分よりも
メッセージ性が強いと感じた。
■商品説明
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。
彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが…。
十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。
■感想
身近に性同一障害の人がいない(気づいていない)ので、感情移入や
リアリティを感じることはできない。しかし、今まで自分が持っていた
知識や印象が本作を読むことでがらりと変わってきた。
良い意味で刺激を受けた作品かもしれない。
ミステリー部分はあまり強い印象は残っていない。
それ以外の部分で強烈なインパクトがあるので、事件やトリックなどの部分が
ちょっと霞んでしまったような感じだ。しかしそれは意図的にそうしているような
感じも受ける。
想像していたよりも深い世界で、その為にノーマルな(この言い方が良いのかは微妙だが)
自分にとっては感情移入することはできなかった。さらに、もし自分の周りに
性同一障害の人がいたら、果たして普通に接することができるだろうか?
今まで通りに受け入れることができるだろうか?
頭で分かっていても、おそらくは難しいだろう。
どうしても距離をおいてしまうかもしれない。
昔からの知り合いがある日突然性別が変わっていたら、混乱するだろう。
その混乱と起こるべき問題は本作のなかでものすごくリアルに感じた。
何を目的として本作を読むかで評価は分かれるだろう。
単純に、純粋なミステリー小説を読みたかった人にとっては不満の残る作品に
なったかもしれない。
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