下流社会 新たな階層集団の出現


2006.9.27 何が本当の下流なのか 【下流社会 新たな階層集団の出現】

                     
■ヒトコト感想
最近頻繁に聞くようになってきたこの”下流社会”という言葉。多少マスコミが煽っているにしても格差社会になっているのは事実として認識しなければならない。しかし本作に書かれている、データを元にした下流階層の実情というのは理解できない。細かなデータを提示して、こうだからこうなんだとか、こんな人物が下流なんだと言っている。それがものすごく読み難く、データの信憑性もない。さらにいうなら基本は自分を下流と思っているかどうかにかかっている。なんだかこれを読んで自分が下流にあてはまる人は、どんな思いで読むのだろうか。一発奮起するのだろうか。

■あらすじ

「下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ

■感想
最初に登場する「下流」の定義をとやかく言うつもりはない。確かに条件に多く当てはまれば当てはまるほど下流の確立は高いだろう。しかしそれはあくまで一般的なことで、本人の気持ちが下流でなければ下流と思う必要もないと思う。本人が望んでそうしている場合もあれば、いつのまにかそうなっている場合もある。本作では特に下流が悪いという書き方はされていないが、遠まわしに下流だと何かと制限ができて幸せにはなれませんよ、と言っているような気がした。

結局上流と下流の違いは収入の差であるという結論に達してしまった。冒頭では収入以外の気持ちの問題もあると言ってはいるが、結局は金だ。本作はすべてどこで取ったか分からないアンケートを元に、下流と上流の違いを説明しているのだが、そのアンケートを見ると、結局は金が有るほうが幸せで、
金がなければ下流となり幸せな生活ができないと言っているような気がした。

真実味を持たせるために、データを元にした分析をアピールしているのだろうが、逆にそれが読みにくさの元凶となっている。本作の大部分がデータを表であらわしているのだが、それが読みにくい。さらに数値で直接書かれているので、文章を読んでいるとリズムを狂わされて頭の中にも残らない。これならば単純にアンケート結果を文章にしてまとめるだけの方が良いような気もした。分析結果をそれらしいものにするためには、分析データを見せる必要があったのだろう。

格差が広がることと、下流というのは別物と思っている。恐らく本作で言う下流の人々は、自分でそう思っているにしてもそこから脱出しようとはしないだろう。なぜならそれで満足しているからだ。



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