かっぽん屋 重松清


2007.3.13 青臭い青春物語など 【かっぽん屋】

                     
■ヒトコト感想
A面、B面という形で前後半に別かれている。A面が性に興味津々の中高生がメインで描かれているとすれば、B面はまるで世にも奇妙な物語に登場するエピソードの一つのような雰囲気をもっている。中高生の広がるだけ広がった妄想を増長させるような、どこにでもある都市伝説であったり、ちょっとしたことから同級生が大人に見えたり。その年代ならではの微妙なニュアンスを的確に表現している。B面ではちょっと不思議で奇妙だが、最後はすっきりとまとめてくれる安定したストーリーだ。ちょっとした暇つぶしには十分すぎるほど面白い。

■ストーリー

頭のなかにあることといったらただ一つ、かっぽん―。憧れと妄想に身を持て余す思春期の少年たちの、ひたすらな性への関心をユーモラスに描いて、もどかしい青春の痛みを鮮やかに蘇らせた表題作のほか、デビュー間もない時期に書き下ろされた奇想天外な物語など、全8編を収録。

■感想
見られないから見てみたい。やったことがないからやってみたい。中高生にとってSEXとは未知のもの。そして何かよくわからないが、無性にあこがれるもの。そんな雰囲気をユーモラスにあらわしているのがA面だ。読んでいると共感できる部分が多々あった。そうだ、中学生のころはこうだったんだ、という思いと。これは違う、という思いがあった。そうであって良いと思う。ステレオタイプな中高生と思えるが、どこか特徴がある。田舎独特でもなく、現代っ子でもない。作者の作品のエイジに似ているのかもしれない。

B面は今までの作者の作風とは違う。どこか不思議で、だけどシンプルにこねくり回すことなくあっさりと予想通りの形で終わる。別人格がでてくる話だったり、自分の名前にこだわる話だったり。作品的にはどこか世にも奇妙な物語風な雰囲気を感じてしまった。ジャンルで言えばショートショートに分類されるのだろうか。この手の作品を読み慣れていないので、やけに新鮮に感じてしまった。

心温まる家族愛や感動することはない。それを求めてしまうと、ずいぶん印象が違うだろう。いじめをテーマにしたり心が痛くなるような作品でもない。ただ青臭い青春物語をリピドー全開で突き進んでいるような感じだろうか。中高生の特権ともいえる青臭さとエロに対する執着心。どこか懐かしく、そして誰でも経験がある部分だろう。さらにガラリと雰囲気が変わったショートストーリー。驚くような仕掛けはないが、読み終わるとなんだか気分がよくなってくる。

前半と後半では、まるで違う作者の作品かと思えるほどだ。




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