2006.9.19 今流行りの敵対的買収 【女子大生会計士の事件簿DX4】
■ヒトコト感想
シリーズを通して会計をミステリーと絡めて判りやすく説明している。メインが会計のために小説としてのクオリティが多少落ちるのはしょうがないが、ミステリーというよりもそのキャラクターと会計という馴染みのないものがテーマとなっているのが興味を引かれる部分でもある。すでに4巻目である本作では、キャラクターの魅力を前面に押し出した作品が多く、続に言う”萌え系”の作品も多数登場している。それだけでなく今回は世間で話題になった企業買収がメインとなっており、興味深い部分は多々あるが、都合の悪い部分にはまったく触れてないような印象を持ったのも確かだ。作品として成り立たせるにはしょうがないのかもしれないが。
■ストーリー
キュートな女子大生会計士・藤原萌実と新米会計士補・柿本一麻が監査の先々で遭遇する奇妙な事件。駄菓子屋再生の鍵を握るのは問屋さん!?悪質な在庫隠しの驚天動地のトリックとは?買収された企業の消滅を防ぐ秘策はあるのか―萌実の名推理が「会社」という不可思議な存在の秘密を鮮やかに解き明かす
■感想
企業買収ラプソディーという副題が付いているように、今回は企業買収がメインとなっている。そしてそれはちょっと前に話題になったTOBに絡んでくることで、現実と同じ手法をとって敵対的買収に対抗している。しかしその中で現実でも問題になっていたことは一切語られていない。企業が株主優先であるということをほとんど意識されずに物語りは展開されている。恐らく会計と絡めるのが難しく、そうなってくるとどうしても都合の悪いことには目を瞑らなければならないのだろう。
このシリーズをずっと読み続けていると、キャラクター的にはツンデレなのかもと思えてくる。そして女子大生という肩書きがついているにも関わらず、その言動や行動力があまりに大人びているので女子大生という文字が出てこないとそのことをまったく忘れてしまいかねない。弁護士ならばまだしも、なじみの薄い会計士になるための試験がどれほど難しく、そして女子大生で会計士になることがどれだけ難しいのか想像することはできない。しかし優秀だというのは十分伝わってきた。
少し気になったのは本作から突然、メイン二人のコンビにラブロマンスが生まれつつあるということか。まあ、ありがちな展開かもしれないが読者を引き付けるためには女子大生会計士というキャラクターだけでは引っ張りきれなくなったのだろう。おそらく、着かず離れずを続けながらダラダラと読者の期待を引き付けながら続くのだろう。
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