女子大生会計士の事件簿DX3


2006.7.22 女子大生のインパクトは1,2まで? 【女子大生会計士の事件簿DX3】

                     
■ヒトコト感想
このシリーズは会計をやさしく学べるということを売りにしている。確かになじみのない会計についてはある程度やさしく、そして分かりやすく書いてある。本作のメインは会計だけにその他の部分にそれほど高いレベルを求めるのは酷かもしれないが、なんとなく物足りなさのようなものを感じてしまった。”神様のゲームセンター”だけは小説らしくなっているのだが、その他の作品が本当に会計メインであとは端折りすぎのような気がしてならなかった。会計という小難しいイメージがあるものを女子大生が主人公となり分かりやすい言葉で解説してくれる。これだけでかなりの価値はあると思うが、慣れてくるとどうしてもそれ以上を求めてしまう。

■ストーリー

キュートな女子大生会計士・藤原萌実と新米会計士補・柿本一麻が監査の先々で遭遇する奇妙な事件。株式上場準備中の映画会社を蝕む不正、ネット予約だとホテルに格安に泊まれるわけ、ゲームセンターに潜む利益隠しの意外なトリック―萌実の快刀乱麻の名推理が、会社とお金のビミョーな関係を優しく、そして面白く教えてくれる

■感想
キュートな女子大生会計士。それは表紙の女の子のことだろう。それと新米会計士の柿本。二人が直面するさまざまな事件を会計士という立場から解明していく。会計士の具体的な仕事や企業との関係。そして会計士のモラルなど。最近話題の企業が粉飾決算をしたとニュースで流れるたびに本作のシリーズを思い出すのだが、その根底には会計士が監査先の企業から雇われているということがあるからだろう。本作の中でもそれには触れられており、おそらく永遠のテーマとなりうることだ。本作でもそれについては解決策を見いだされてはいない。全ては会計士個人にかかっているようだ。

ちょっとしたミステリーっぽくなっているのだが、基本的には企業の担当者が自分の会社のために経理操作をし、それを萌実と柿本が暴くという流れだ。会計士の監査というと偉そうに踏ん反りかえって、周りからは先生、先生と呼ばれていい気になっているようなイメージしかなかったが、本作は少し違っており、どこか山奥の
山荘に偶然居合わせた名探偵のような雰囲気さえ漂わせている。

女子大生の必要があるのかと問われると難しいところだろう。”神様のゲームセンター”でも言及されていたが、若いということはそれだけ相対する企業のお偉いさんとはずいぶんと年の離れた対決となる。そうなると萌実の強気な態度と柿本のちょっと弱気な態度がうまい具合にミックスされミステリーでありがちなホームズとワトソンのような関係性が出来上がっている。

女子大生と会計士というミスマッチな関係がインパクトをもって受け入れられたのは1、2まででこれから先どうなるかが見ものだ。



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