ジャンパー


2008.3.12 インパクトがありコンパクトだ 【ジャンパー】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
CMや予告では、やけに面白そうな作品に見えて仕方がない。魅力的な映像とスピード感。どこでも好きな場所にジャンプできるという特殊能力。かなり興味をそそられる作品であることは間違いない。いざ見てみると、予告やCMにうそはなく、素晴らしい映像と、ジャンプする瞬間の演出なども非常に優れていると思う。上映時間も一時間半弱というコンパクトなつくりであり、作品の性質と合っている。ただ、ストーリー的な深みはない。短時間というのもあるが、肝心なジャンプ能力に対する説明がほとんどされていない。突然、能力を発動し、自由を楽しみ、そして命を狙われる。なんだか、自分の知らないうちにストーリーがジャンプしてしまったような感覚だろうか。

■ストーリー

ミシガン州で育ったデヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)はごく普通の高校生だった。しかし、川で溺れそうになったとき、彼は自分に備わった途方もない“才能”に気づくことになる。冷たい川底から一瞬にして、図書館へと“ジャンプ”していたのだ!特別な力を手に入れたデヴィッドは、1人ニューヨークへと向かった。15歳の彼が生きていくため次に瞬間移動したのは、銀行の金庫室だった。まんまと大金をせしめたデヴィッドだが、その存在に気づいた男がいた。“ジャンパー”を悪とみなし、彼らの抹殺を使命とする組織、“パラディン”のローランド(サミュエル・L・ジャクソン)である。

■感想
インパクトある予告。ジャンプして世界のどこへでも行ける能力。単純なテレポートなのだが、そのテレポートの描写がすばらしい。体が溶け出すように、しかし一瞬にして消え去り、目的の場所に到達する。もはやなんでもありな無敵な能力なのだろう。ジャンプを駆使して人生を自由気ままに楽しむ場面では、ありえないことを実現したうらやましさいっぱいで眺めてしまった。そんなジャンパーを抹殺しようとするパラディンという組織も良い。得体の知れない部分と、有無を言わせぬ迫力。パラディンがいることで物語が締まっている。

一時間半弱という短時間も、物語の性質とあっている。だらだらと続けないことで、よい部分だけがしっかりと目立っている。ただ、ストーリーの深みを感じることはできない。どのようにしてテレポート能力が発動したのか。謎の組織パラディンとジャンパーの関係は?他にはどのようなジャンパーがいるのか。など、疑問はつきることが無い。ただ、ジャンプしてパラディンから逃げ回りながら、ジャンパーとして人生を謳歌する。シンプルでよいのかもしれないが、心に残ることはない。娯楽性は強いが、ただ、それだけなのかもしれない。

本作はなによりジャンパーの動きを見て楽しむべき作品だろう。ジャンパーの旅、ジャンパーの戦い、そして、ジャンパーの苦悩。世界各国へジャンプでき、中でも日本での行動に時間が割かれているというのは、日本のマーケットを意識したのだろうか。ベンツで疾走する場面など、特別必要だとは思わないが、なぜかしっかりと時間を使って表現されている。

予告で見た印象は、そのまま作品の面白さとなっている。決して予告のみの映画ではない。ただ、もっと深い内容の物語だと、より良いと感じる人もいるかもしれない。映像的なすばらしさは言うことない。ストーリーがジャンプする部分を除けば、十分に楽しめる作品であることは間違いない。



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