イルマーレ


2006.11.3 ハリウッド的ラブストーリー 【イルマーレ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
韓国映画のリメイク。どちらが好みかは見る人によると思うが、僕は韓国版の方が好みだ。まず物語のメインであるイルマーレという湖畔に立つ家が随分みすぼらしく見えてしまった。韓国版が幻想的な雰囲気をかもし出しているのにくらべて現実的ではあるが不思議な感じはいっさいない。このイルマーレによって時空を超えた手紙のやり取りにも説得力があったはずなのに、ただのボロ屋であれば不思議な雰囲気を感じることはできない。ムードがないと感じた。韓国版が時空を超えたやり取りをメインとすれば本作はまさにラブストーリーがメインと言っていいだろう。ラストを見てもそれははっきりと分かる。結局は僕自身がラブストーリーがあまり好きではないということだろう。

■ストーリー

病院の医師であるケイトは、湖畔に立つガラス張りの家から引っ越すことになった。家を出る時、次の住人に宛てて手紙を残した。「郵便物の転送をお願いします。玄関の犬の足跡は元からありました」。新しい住人アレックは、玄関を見たが犬の足跡はなかった。しかし翌日、迷子の犬がやってきて、ペンキで足跡をつけた。アレックは、このことをケイトに手紙で知らせる。数回の手紙のやりとりからアレックは、ケイトが2年後の世界にいることを知る。2人の不思議な文通は続き、やがて愛し合うようになる。

■感想
韓国版は二人が出会って話をすることは最後までなかった。しかしハリウッド版では・・・。リメイクといいながら随分中身は様変わりしていた。ルール的なものも特にないようで典型的なラブストーリーに思えてしまった。特に最後の結末ではタイムパラドックス物ではありがちな時間の矛盾を一切気にすることなくやってのけてしまった。簡単にいうと未来を変えてしまったのだ。そうまでしてハッピーエンドにしたかったのは本作が純粋なラブストーリーだからだろう。

庶民的で不思議な魅力がある韓国版のイルマーレと豪華でハリウッド的ラブストーリーのリメイク版。どちらが優れているというのは見る人の好みによって大きく分かれるだろう。本作はまさしく誰にでも分かりやすく作られており、デート映画としても最適で万人受けする作品だと思う。そのかわり韓国版にあった不思議な雰囲気が一切なくなっている。特にキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの二人が演じることで
豪華さは際立っているが、マニアックさはなくなっている。下手するとただの凡庸なラブストーリーになりかねない。

アメリカ的な雰囲気を随所に漂わせ、それに慣れてしまった人には違和感がないが、どうにもなじめない部分もあった。最後のシーンではハッピーエンドではないからこそ、その余韻が大きいと思うのだが、本作はラストをまったく別物にしている。もしかしたら韓国版を意識してそうしたのだろうか。観衆の大勢が予想する結末は韓国版の方であり、ありがちともいえる。しかしそちらの方が自然で、リメイク版の方はどうしても不自然さを拭い去ることはできなかった。

どちらが好みかははっきりと分かれると思う。ラブストーリー好きならば断然本作なのだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp