犬神家の一族


2008.3.11 古き良き時代を感じる 【犬神家の一族】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
過去の作品のリメイク。石坂浩二以外はキャストが新しくなっているらしいが、自分にとっては本作が始めて見る犬神家だ。かなり有名で、最近では芸人のギャグなどにもなっている本作。古典的名作を今見ると、期待はずれに終わることが多い。いくらリメイクされたとは言え、題材やトリックが古ければミステリーとしては致命的かと思っていたが、意外にもすんなりと楽しむことができた。SFのしょぼさや音楽その他の雰囲気の古臭さすら、なんだか古き良き時代を思い起こさせるようでとても良かった。根本的なストーリーのありきたりさは否めないが、それでも十分に面白かった。あの独特な音楽が特に良かった。

■ストーリー

信州が産んだ製薬王・犬神佐兵衛が莫大な遺産を残して亡くなった。佐兵衛には母親の違う3人の娘、松子・竹子・梅子がいたが、なぜか遺言状には全財産を佐兵衛の恩人の孫娘・野々宮珠世に譲渡すると書かれていた。しかも珠世が財産を受け継ぐことができるのは、松子ら3人の娘たちのそれぞれの息子のいずれかと結婚することが条件だった。早速、珠世を巡って息子たちは争奪戦をくり広げ、ついには殺人事件が巻き起こる。遺言状を預かる法律事務所の依頼を受け、名探偵の金田一耕助は捜査に乗り出すのだが…。

■感想
名探偵、金田一耕助。このフレーズはすでに有名すぎるほど有名だ。ただ、名前は有名だが実際に作品を読んだことがない。同じく、名前は超有名でありながら、まだ一度も見たことがない作品である犬神家の一族。印象的な場面は映像としては見たことがある。古い作品ということで、音楽の恐ろしさもとても印象に残っている。それを今、新たにリメイクしたところで、昔の良さがどの程度出せるのか、それは非常に気になる部分であった。ただ、自分自身がオリジナルを見たことがないので、まったく比較はできないのだが。

時代を感じさせる建物と服装、しかし、顔立ちだけは思いっきり現代的だ。特に深田恭子の眉毛の細さがことさら目に付いた。ただ、それに違和感を感じるのは最初だけで、見ていくうちにまったく気にはならなくなってくる。オリジナルでは許された演出でも、現在では許されない部分があると思う。特に生首の場面では、明らかに作り物とわかるクビが登場しても、まったく驚くことができないだけでなく、逆にそのシーンでは笑いさえ起きてしまうほど、そこだけやけに浮いて見えた。

このCG全盛の時代において、あえてこの古臭さはそれなりに良い雰囲気をだしている。ブランドとして確立されているものを今風にアレンジすることなく、そのまま昔風のつくりで勝負する。非常に男らしい決断なのかもしれないが、今、あえてこれをやる必要があるのか、それは疑問だ。作品を風化させないという意味では、定期的な燃料補給という意味で、リメイクは必要なのかもしれない、しかし、あまりに昔っぽさがそのままなのはちょっとどうかと思う。

全体的には面白いのだが、せめてCGを使える部分は、CGを使ってリアルにしてほしかった。



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