百万長者の初恋


 2008.6.12  王道的なラブストーリー 【百万長者の初恋】  

                     

評価:3

■ヒトコト感想
突然遺産をつぐことになったジェギョン。その条件を守るためしぶしぶ田舎の高校へ転校する。このあたりの流れは非常に興味深かった。ソウル出身の金持ち不良が、突然純朴そのものの田舎の高校生たちと過ごす。そこには生活レベルの違いから戸惑いや行き違いが発生するが、田舎独特のほのぼのさですべてを丸くおさめている。ここまでは非常に面白かったのだが、後半から突然ラブストーリーへと変貌していく。タイトルからしてわかっていたことだが、物語のトーンが恋愛に変わると、なんだか妙に覚めてしまった。お決まり通りの不治の病に、悲しい別れがあると知りながら、残りわずかな時間を一緒に過ごす二人。ありきたりすぎる。

■ストーリー

祖父が残した莫大な遺産を継ぐはずだった、わがまま放題の財閥三世ジェギョン。しかし、相続のためには、“ある田舎の高校を卒業すること”という条件が挙げられていて…!?(

■感想
金持ちが田舎の生活に四苦八苦しながら、純粋な気持ちを取り戻し、金を稼ぐということの大切さを啓蒙する作品かと思いきや、後半からの突然の変貌。ヒロインの生まれの不幸と不治の病。恋をして心臓がドキドキすると死期が早まるという無理な設定。後半からは典型的なラブストーリーと化すのだが、この流れを期待していた人には、まってましたとばかりの展開なのだろう。無理だとはわかっていたが、前半の流れを引き継ぎ、田舎少女との純粋な恋愛だったほうが、まだよかったかもしれない。

徹底的に嫌な奴という描写のジェギョン。確かに傍若無人であり、なんでも金で解決しようとする嫌なやつだ。ただ、周りの田舎高校生たちは、ジェギョンの行動の真意を知らずに、純朴な行動を繰り返す。このギャップと、ジェギョンの心が少しずつ変わっていく様を楽しく見ることができた。田舎高校生の一人にかすかに恋心を抱くジェギョンも良かった。なかなか素直になれず、男版ツンデレのように、相手に対して好きだから辛く当たってしまうのも良かった。不幸なヒロインをあからさまに守ろうとするまでは…。

大金持ちのジェギョンの傍若無人さは当然ながら後半では、なりを潜める。後半は本当にただのラブストーリーと化している。ありきたりな最後の生活。泣かせようというのがありありと画面から伝わってくる。わかっていながらも、泣いてしまう。(僕自身は泣かないが)これが韓国映画の真骨頂なのかもしれない。王道すぎる王道のラブストーリーなので、需要と供給のバランスからすると成り立っているのだろう。

最初の流れのまま、ヒロインが不治の病など発症しなければ十分楽しめる作品だったのだが、なんだかもったいない気がした。



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