ホテルビーナス


2005.8.31 誰にでもある心の闇 【ホテルビーナス】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
青みがかった画面からはどこか冷めた印象を受け、
流れ続けるラブ・サイケデリコの音楽とマッチし、ちょっとしたプロモーションビデオ風だ。
ホテルビーナスに集う面々は皆どこか心に闇を持っている。
これは誰にでも当てはまることであり、
誰にも触れられたくない心の奥底の悩みに共感できるだろう。
登場人物の誰かに感情移入することができればとてもすばらしい作品と感じ、
見終わった後にはスッキリと前向きな気持ちになれる。

■ストーリー
ワケありの流れ者たちがひっそり暮らすホテルビーナスに、ある日不思議な父娘が現れた。
頑なに心を閉ざす娘に、ホテルの世話係でもあるチョナン(草なぎ剛)は心を配る。
それとともに、他の住人たちも少しずつ前へ向かって歩みだそうとしていく……。

■感想
ラブ・サイケデリコの音楽が特別優れているとは思わないが、本作の無国籍な雰囲気には
とてもマッチしていると思う。韓国語のセリフに日本語字幕という韓流ブームに便乗しているようだが
これが思いのほか作品に良い影響を与えている。字幕を通すことでセリフに不自然な印象を受けず
物語に感情移入するのに随分手助けになっているように思えた。

人は誰しも人に言えない悩みを持っている。これは言いようのない事実だろう。
登場キャラクターは個性的であり、あらゆるパターンの悩みが登場してくる。
僕はその中でも主役であるチョナンの気持ちは痛い程よくわかり、感情移入しまくってしまった。
青みがかった画面がチョナンの無表情さをさらに際だたせ、心に闇を持った人物として
印象的な描かれ方をしている。
些細な衝突や不満にもものすごく共感できた。自分に悩みや不満があるときには
意味もなく周りのあらが目立ち始め、気になりだしてしまう。
自分のことを客観的に指摘されているようだった。

悩みが解決していくことで、青みがかった画面からカラーの画面にうつっていく。
それまでの印象からがらりと変わり、これほど暖かい印象を受けるのかと驚かされた。
それにつれて登場人物達も表情豊かになり、ホテル内でも生活感に溢れてくる。
ホテルの面々は皆良い笑顔をして、見ていると本当に幸せを掴む為に
前向きになっているというのがわかる。
見ている者の考えを前向きにさせる何か力がある作品だ

ラストのウラジオストックの青空がとても印象的だった。



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