2008.4.26 泣けきれない感動モノ 【星に願いを】
評価:3
■ヒトコト感想
香港映画のリメイクらしい。どうなんだろうか…。あざといと言えばあざとく。王道と言えば王道。それなりに泣けるポイントはあるのだが…。どうしても物語に入り込むことができなかった。まず最初に不幸のどん底状態である圭吾が健気さを漂わせながらも、どうも観衆に同情されるようなキャラではないということ。そして、別人に生まれ変わってからの横暴さ。何か伝えたいことがあると必死になるのはわかるが、強引でアグレッシブな部分は、泣ける妨げになった。会話などで、しっかりと伏線を張りながら、物語を面白くしようと必死なのは感じ取ることができた。しかし、キャラクターの魅力が乏しいだけに、感情移入することができなかった。
■ストーリー
舞台は北海道・函館。3年前に交通事故で失明し声も失いながらも、看護師の奏(竹内結子)の厳しくも温かい看護により心を開いて再び生きる勇気を取り戻した笙吾(吉沢悠)は、ある日車にはねられ絶命してしまう。しかし、別の人間として数日間だけ生命を与えられた彼は、奏にある想いを伝えようとするが…。
■感想
まず看護師の葵の立ち位置がイマイチわからなかった。何をしたいのか、客観的に見ると圭吾に恋をしているようにもとれたのだが、ただの世話好きな看護師ともとれなくもない。目が見えず、口も利けない圭吾に恋をするという必然性がほとんど感じられず、物語からも伝わってこなかった。その時点で、なんだかキャラクターが薄っぺらいように感じてしまった。極めつけは別人に生まれ変わったあとの圭吾だろう。あれだけアグレッシブで、強引過ぎるキャラクターであれば、必死さは伝わってくるが、それよりもなんとなくだがウザイという気分の方がつよくなってきた。葵のヒステリックな拒否症状も気になったのだが…。
ファンタジーと恋愛。不幸の死を遂げた人物が生き返り、恩返しをする。定番といえば定番だ。見ているほうとしては、どのようにして葵が圭吾のことに気がつき、最終的にはどうなるのか、それが興味を引かれる部分なのだろうが、途中でどうでもよくなってしまった。圭吾が保険の外交員に化けるあたりもなんだがちょっと現実離れしすぎているし、あまりにも都合が良すぎるだろう。無理やりいろいろな要素を詰め込もうとするのもありありと感じることができた。葵のお姉さんのエピソードは果たして必要だったのだろうか。
時期的に邦画で感動物がチヤホヤされた時期に作られた本作。二匹目のドジョウを狙おうとしたのだろうが、コケてしまった。まあ、本作を見るとコケるのはしょうがないのかもしれないと思えてくる。大きなインパクトを与えたり、泣けてしょうがないというようなこともない。どう考えても売りが少なすぎる。その他の感動物が特別すぐれているとは思わないが、少なくともキャラクターが魅力的であったり、誰もが想像しないような展開であったり、何かしら売りがあった。本作にはそれがない。
泣けるかどうかは人それぞれだろうが、少なくとも僕は泣けなかった。
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