2005.10.12 回想形式は泣ける 【炎のメモリアル】
評価:3
■ヒトコト感想
平凡な人物であればあるほど感情移入しやすい。その人の人生をダイジェスト的に表現するには
回想形式が一番だろう。それが自分に死の危険が迫った場面での回想では
まさしく今までの出来事が走馬燈のように蘇るという表現が最適かもしれない。
本作を見て消防士という仕事の危険性をあらためて認識し、この職業に従事している者には
いつでも訪れるとてもリアルな出来事だ。
回想形式は、ある程度分かっているのだが悲しくなってくる。
結末がハリウッド的ご都合主義ではなかったのでなおさらかもしれない。
■ストーリー
ボルティモアの穀物倉庫で大規模な火災が発生。
現場へ駆けつけた消防士のジャック・モリソン(ホアキン・フェニックス)は、
爆発の危機をはらんだ建物の中に飛び込み、
12階に取り残された生存者の救出に全力を尽くすが、そこである事故に巻き込まれる・・・。
失神したジャックは自分が新米消防士として始めて経験した火災現場のことを思い出すのであった・・・。
■感想
ホアキン・フェニックスが平凡な消防士という役柄にぴったりとはまっている。
冒頭、消防署に初出社する場面ではまさしく田舎から出てきたばかりで右も左も分からない純朴青年風な
雰囲気を出しながら、経験を積んでいくにつれてたくましく成長していく様がとてもここちよかった。
恋愛には奥手だが、気の良い仲間達に囲まれ、絵に描いたような幸せな家庭を築く。
まさしくこれぞアメリカのデフォルト一般家庭のような雰囲気だ。
平凡かつリアルであればあるほど、見ている方も感情移入できるのだろう。
ちょうど911で多数の消防士が犠牲になったのだが、本作を見てまたあらためて
その危険性を認識させられたのだが、
テロ云々以外にも普段から危機的状況は常に訪れているということも実感させられた。
消防士は確かに危険な仕事だが、それを忘れがちな人々に対して、消防士の偉大さと
その家族達の苦悩も描かれている。
普段見過ごしがちな家族との関係もピックアップされており、
夫が危険な仕事に従事している家庭内のトラブル、
多くは表面的なことしか見えてこないが、内側ではいろいろな問題があるのだろう。
ヒロイズムや地位と名誉だけでは家族を養うことはできないし、家族を安心させることもできない。
そんな葛藤も描かれている。
最後はハリウッド的、ハッピーエンドなのかと思ったが、そうではなかった。
悲しい結末とも思えるが、僕はこれで正解だったと思う。
厳しい現実のようだが、実際の消防士達も映画のようにスーパーマンであるはずもなく
危機から脱出できるわけではないということを認識させられた。
日本の消防士もおそらく負けず劣らず危険な仕事なのだろうが、それに対して
注目されることがまず無いのが今の現実だ。
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