ホリデイ


2007.10.6 現実逃避先として 【ホリデイ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ホーム・エクスチェンジという制度にまったく馴染みのない日本では、本作のような流れは映画的な演出にしか見えなくもない。しかし、アメリカでは結構有名なシステムのようだ。強烈な失恋をした者が、今の環境を変えるためにまったく知らない土地へ移り住む。環境を変える方法としては一番手っ取り早いのかもしれない。失意のどん底にいた二人がそれぞれ旅先で新たな恋に出会う。根本は昔からあるパターンなのだ。要は普通の旅行が、ホーム・エクスチェンジに変わっただけかもしれない。本作に憧れ、新たな恋愛に対して前向きになるのか、それとも、同じように旅に出るのか。それは見た人の気持ちしだいだろう。

■ストーリー

ロサンゼルスで映画の予告編製作会社を経営するアマンダは恋人に浮気され、彼を家から追い出した。ロンドンの新聞社に勤めるアイリスは、元恋人に目の前で別の女性と婚約発表されて失意のどん底に。傷心の2人はインターネットの「ホーム・エクスチェンジ」サイトで出会い、お互いの家を交換して相手の家具や車を自由に使えるという休暇を過ごすことにした。まったく違う環境で2週間のクリスマス休暇に入った2人…。やがて、ロスのアイリスは作曲家のマイルズと、ロンドンのアマンダはアイリスの兄グラハムと出逢い、思いがけないラブ・ストーリーがはじまった――。

■感想
何気なく見ると、本作の登場人物たちは恋愛に対しては確かに恵まれていないかもしれないが、根本的には幸せな人生をおくっている。セレブな生活や、充実した仕事。強烈な失恋を経験し、そこからの現実逃避先にはすばらしい男が待っている。まさに至れりつくせりの恋愛映画だ。一見、旅先での出会いということと、一週間という期限付きの恋愛が大きな障害のように思えるが、実はそれはたいしたことではない。その気になればいくらでも克服できる問題なのだろう。

そうは言っても、旅先での新しい出会いというのはドキドキし、ワクワクするものだ。そのドキドキ感を観衆にも共感させるために、イケメンや、魅力的な男を用意する。恋愛に疲れた女性を旅に出させる効果はあるのかもしれない。現実はこううまくいかないというのは判っているが、夢を求めるためにもこの映画の効果は大きいのだろう。できすぎた展開と予想できる流れ。ただ、すべてが予定調和的に終わったとしても、本作を見る人々はこの結末を求めているので、何の問題もない。

ホーム・エクスチェンジという、まったく他人の家に住むという部分にインパクトがあるが、それ以外はありきたりな旅先でのアバンチュールだろう。スワッピングのようにお互いの相手を交換するとならなかったのは、映画的な面白さよりも、倫理観を重視したのだろうか。女性を元気にし、前向きにする力がある作品なのは確かだ。そして、本作を見るのはすべてを許容でき、純粋に
感情移入して楽しむ単純さも必要だろう。



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