2008.2.3 漫画の雰囲気はでているが… 【羊のうた】
評価:3
■ヒトコト感想
原作である漫画は相当昔に読んだ気がする。内容もそれなりに覚えており、絵柄の印象がとても強かった。それが映画化され、いざ見てみると、確かに漫画の雰囲気は良くでていると思う。ホラーというよりもちょっとした青春物語的で、全体の暗い雰囲気も良いと思う。ただ、漫画で読むのと映画化されるのではまた話は違う。絵の印象が強い作品であり、特別ストーリーが優れているとは思わない。それを実写化すると、とたんに駄作のように感じてしまう。役者の演技が特別優れているわけではないので、物語にあまり集中することができなかった。原作に忠実なだけに、映画としての魅力が薄れてしまったのだろうか。
■ストーリー
地方都市で養父母の下で暮らす高校生・一砂。毎日のように夢に現れる古い家と血のイメージを頼りに郊外の一軒家に向かうと、そこには生き別れた姉がおり、ある秘密が隠されていた。
■感想
他人の血がほしくなるという奇病。そして、血がほしいという欲求に苦しむ一砂。一砂役の小栗旬はいい演技をしていたと思う。血を求める欲求と必死に戦いながら自制し、そして暴走することから避けるため人との接触をたつ孤独な男という雰囲気はでていた。ただ、それ以外のしっかりと脇を固めるはずの姉や同級生の女が随分と大根役者だったのがものすごく気になった。その俳優が画面に登場しセリフをしゃべった瞬間に、今までの雰囲気がぶち壊しになるような印象をもった。
漫画原作の映画化というのはものすごく難しいと思う。絵で表現された漫画をどのようにして実写化するのか。漫画のイメージを保ちつつ、うまく映画の面白さをプラスアルファしなければならない。それはものすごくバランスが重要なことだと思う。本作は原作に忠実ということばかりを気にするあまり、映画としての面白さを犠牲にしたのかもしれない。漫画では許されることであっても、映画ではゆるされないことは多々あると思う。まず、一つは漫画であれば自分のペースでページをめくることができるが、映画はそれができない。本作は退屈な場面がものすごく多く、退屈な場面を費やして築いた雰囲気を俳優が壊すというのを繰り返しているように感じた。
特別、原作漫画が好きというわけではないが、絵はとても印象的だった。正直言うと、絵の魅力が大きかったと思う。その作品を絵抜きで成立させるのは、かなり無謀なことだったのだろう。ホラーでもなく、青春映画でもない、もちろん恋愛映画でもなければ、なんだかよくわからない、すべてにおいて中途半端に終わってしまったような感じだ。
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