変身 東野圭吾


2005.4.11 自分が怖くなる 【変身】

                     
■ヒトコト感想
内容は平凡な脳移植ミステリー。
誰もが想像するような元の脳の持ち主からの影響にまつわる物語。
しかし、本作のすごいところはそこではなく、性格が破綻していく
ところにあると思う。ものすごく共感できて、怖かった。

■ストーリー
平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。
そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。
それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、
手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。
自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。


■感想
タイトルが「変身」であり、内容が脳移植ものとくればだいたい想像がつく。
中身もその想像を裏切らない、ある意味予定通りの流れになっている。
その中で純一の性格が破綻していく過程で世間にたいする不満、憤りを
感じる部分でものすごく共感を覚えてしまった。
性格が破綻していく主人公に共感を覚えた自分に恐ろしくなってしまった。

バイオレンスな描写もあるが、それを読んでいると何故かすっきしりした気持ちに
なったりもするし、この本を読み終わる直前には親しい人に対してかなり
ひどい態度で接していたと思う。
恐らく本作の影響だろう。

ある程度、その異常さにも慣れてきたときには本作のおもしろさも少し
かげりが見えたような気がした。
タイトルやテーマが平凡で別にこれといって目新しい物は何もないような
気がするが、何故かものすごく惹かれてしまった。

今は読み終わって何日か経っているので冷静に考える事ができるが、
熱中している時はかなりキケンは考えを持っていたかもしれない。
冷静に読むことができる人にお勧めです。




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