2007.8.14 天才対凡人 【ハチミツとクローバー】
評価:3
■ヒトコト感想
原作は未読。このことは、出演者と原作のキャラクターの違いを意識せずにすむので、何の先入観もなしにサラリと見ることができた。内容は天才と凡人。凡人はいくら頑張っても、結局は天才にいいところを持ってかれてしまう、そんな悲しい現実を見せ付けられるような作品だ。森田やはぐみに対する竹本。なんだか竹本が一生懸命なだけに、余計にその哀れさを感じてしまった。作品全体としては、このことはほんの一部なのだろうが、男女の恋愛模様よりも、その部分の方が印象に残っている。演じる俳優たちも、個性があってよいと思うが、森田役の伊勢谷友介だけは、毎回この手の雰囲気に感じてしまうのは気のせいだろうか。
■ストーリー
美大の建築科に通う竹本は、花本先生の親戚のはぐみに一目惚れをする。かわいい顔に似合わないダイナミックな絵を描くはぐみの天才ぶりは、竹本の先輩の森田の心も突き動かす。一方、陶芸科の山田は、建築科の真山に片思い。そして真山は、山田の気持ちに気づきつつも、バイト先のデザイン事務所の理花を一途に思っていた。
■感想
原作とのイメージのギャップがない分、比較のしようがないので、純粋に本作だけの評価となる。作品としてはしっかりとまとまっているし、それぞれのキャラクターもしっかりとキャラ立ちしていると思う。特に花本先生は、全体的に前へ前へと押し出してくるような雰囲気の中で、そこだけ力が抜けたような、軽い雰囲気が漂っていてよかった。この先生が出る場面は、どんなに修羅場であっても、安心して見ていられるような気がした。
天才はどこか欠陥があり、変わり者である。原作がどのような結末に至ったのかわからないが、もし、本作の流れのように森田とはぐみがくっつくのであれば、なんだかなぁー。という印象しかもたないだろう。本作は、それぞれが恋に悩みながらの青春という部分で終わっている。青春という意味では、海に行ったり、突然旅館に泊まったりと王道をたどっている。ただ、どうしても天才の描写がステレオタイプな変わり者であり、何でもできてしまう。本作を見る限りは、竹本は森田に一切勝てる部分がないような気がした。
はぐみと竹本はくっつくことがあるのだろうか。真山と山田は。そう考えてしまうあたり、どうやら本作の術中に嵌っているようだ。単純な青春物語に、美大という才能の世界が加わったものとして見れば十分に楽しめる。何も天才対凡人などという高尚なことを考えてみる必要はない。青春を思い出してみれば、キャラ立ちもしているし、テンポのよい流れで楽しむことができる。適度なユーモアもあり、暗い終わりかたをしていないのも、好感がもてる。
原作との違いなど一切考えず、純粋な気持ちで見ると、結構楽しめる作品だと思う。
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