ハリウッドランド


 2008.6.7  今明かされる事件の真実 【ハリウッドランド】  

                     

評価:3

■ヒトコト感想
スーパーマンのジョージ・リーブスが謎の死を遂げた。そして、それにまつわるきな臭い話を、ミステリアスに描いている本作。一昔前のヒーローというイメージのあるスーパーマン。その俳優が謎の死を遂げていたというのは初耳だった。となると、必然的にこの事件に対する思い入れや、謎に対する興味は半減してしまう。にもかかわらず、純粋なミステリーとして楽しめた。巨大な権力をもつものたちによって闇にほおむられた事件というのは、多かれ少なかれあるだろう。それがハリウッドを舞台としていれば…。自然と興味がわいてくる。いったいどのようにして、しがない一探偵が謎を解くのか。スーパーマンの物悲しさを異様に感じる作品だ。

■ストーリー

世界一有名なスーパーヒーローを演じた俳優ジョージ・リーブスが、謎の死を遂げた。警察は自殺と断定するが、私立探偵のシモはリーブスの母の依頼で調査を始める。しかし真実に近づくほど、シモはハリウッドという華やかな世界のタブーに踏み込んでいくのだった―。果たして彼の死の真相にシモはたどり着けるのか?当時のハリウッドの《光と影》をリアルに再現しながら、未解決のまま“伝説”となったハリウッド史上最も悪名高く、スキャンダラスな事件を、独自の切り口で映像化し全米で大ヒットした衝撃の話題作。

■感想
うだつのあがらない探偵であるシーモ。たった一人でハリウッドに喧嘩を売るようなマネをするこの男のキャラクターが良い。なんだか掴みところがないようでありながら、キッチリとポイントを抑えている。ジョージ・リーブスがスターダムにのし上がる過程とシーモが調査する過程が丁度逆行するように進んでいく。これによってジョージ・リーブスに対して、思い入れがない人も、しっかりと感情移入でき、その半生を残念に思うと共に、事件の真相を知りたくなる。

華やかな世界独特の、他者を寄せ付けないような排他性。そして、次々と暴かれていく真実。まるで羅生門のように新しい事実が判明するたびに、結末が変わっていく。観衆はシーモと同じような目線で事件の難解さを追っていくことになる。実際に事件をリアルタイムで見ていた人にはさらに衝撃なのかもしれない。一般的にメディアで報道された真実とどのように異なっているのか。ちょうどJFKのような感じなのかもしれない。

ある一つの歴史上の事件を別の視点で、新事実としてセンセーショナルに描く。そこには多少の悪意もあるかもしれないが、興味本位の部分が大きいのだろう。そういった意味でも、すでに何十年も経った事件を題材としたのは正解だったのかもしれない。事件の結末が自殺として処理されたことであるだけに、なおさらそうなのかもしれない。

ハリウッド史上最も悪名高い事件という理由はなんとなくわかった。もしかしたら、誰もがわかっていることでも、おおっぴらにできないという典型なのかもしれない。



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