グッド・シェパード


2007.11.1 冷酷非道な羊飼い 【グッド・シェパード】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
タイトルは「良い羊飼い」という意味らしい。マザーと呼ばれた凄腕諜報員がはたして良い羊飼いなのだろうか。冷戦下の異常なほどの諜報戦と、諜報員の悲しさを感じることができる作品だろう。国の諜報員ともなれば、家族であろうと仲間であろうと信じることはできない。いつ、どこにスパイが紛れ込んでいるのかわからない。常に安息することはない、ピリピリした雰囲気をマッド・ディモンが好演している。しかし、成人を超えた息子がいるという役はどうなのだろうか。アンジェリーナ・ジョリーはそれなりに老けていたが、マッド・デイモンはちょっと若々しすぎたと思った。

■ストーリー

1961年4月17日、アメリカの支援を受けた亡命キューバ人の部隊が、カストロ政権の転覆を目論み、ピッグス湾に上陸。だが、内部の情報漏れによって作戦は失敗、CIAは窮地に立たされる。3日後、作戦の指揮を執ったベテラン謀報員エドワード・ウィルソンのもとに1本のテープが届けられる。録音されていたのは、ベッドで交わす男女の秘密めいた会話だった。事件の真相を究明するエドワードを襲う、過酷な運命と驚くべき真実。そして、彼は究極の選択を迫られることに……。

■感想
国の諜報員として、仲間を疑い、息子までも例外ではない。凄腕諜報員の顔を持つということは、冷酷非道な面を持つと言い換えることができるようにも感じた。決して気を緩めることができない、ピリピリした雰囲気。冷戦下であれば、なおさら現代よりも情報の重要性が叫ばれていたことだろう。家族や仲間でさえも犠牲にし、CIAに心血を注いだ男の生き様が語られている。

CIAという組織がどのようにして成立しているのか、そしてその内部関係とFBIとの関係。本作がすべて真実だとは思わないが、謎のベールに包まれた部分を盗み見るようんで、非常に興味深い部分ではある。一本のテープを詳細に解析するくだりも、そこまでやるかというほど細部にまで徹底的に解析し、目的を達成しようとする。一つの情報を手に入れるために、これほどまでに力を注ぐものかと驚かされた。本作を見ると、ターゲットにされたら、決して逃れることができないようにも感じた。

映像のトリックだとはわかっていても、結末間近に登場する強烈な場面はとても印象に残っている。ヘリから突然突き落とされた人の姿をワンカットで映し続け、
落ちながら手足をばたつかせる姿は、なんだかとてもリアルに感じてしまった。その映像とシュチュエーション、さらにはそこにいたるまでの流れを見ているだけに、衝撃と悲しさの入り交じった、なんともいえない気持ちでその場面を見続けた。

スパイ映画としての派手さはないが、地味なだけに真にせまった迫真さを感じてしまった。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp