グローリー・ロード


2007.9.1 弱小バスケチームの救世主 【グローリー・ロード】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
今やバスケ界、いやスポーツ界全体が黒人抜きでは語れなくなっている。そんな時代を先取りするようなバスケコーチの物語だ。流れとしては弱小大学バスケチームを常勝チームへ変貌させるというものだが、そこにはただの感動ものだけでない、人種差別に関するさまざまな問題提議も含まれている。コーチがメンバーをスカウトし、厳しい練習のすえ勝ち進んでいく。普通ならば、そこでハッピーエンドなのだが、黒人と白人という、その時代の差別感から、さまざまな問題が発生する。すべてが実話だけに、見ているほうも緊迫感をもって見ることができた。

■ストーリー

1966年のアメリカ大学バスケットボール界では黒人選手は1試合に3名しか出場させられないのが暗黙のルール。ドン・ハスキンズ率いる弱小チームは大学から勝つことを強いられていた。そんな中、ハスキンズはNYのストリートバスケットボールに興じる黒人の若者のプレイに心を動かされチームに引き抜き、チームは半数以上が黒人選手に。当時では考えられない型破りなチームの快進撃が始まった!

■感想
今となっては、なぜそんな差別が存在したのか、理解できないが、その時代ではそれがあたりまえだったのだろう。黒人がバスケに参加できない。バスケ=黒人というイメージが強い現在としては、想像することすら難しい。信じられないような暗黙のルールをやぶるハスキンズ。お決まりどおり、最初は順風満帆だが、物事がうまくいきそうになると、そこで何か問題が発生する。今でも根深く残っている人種差別がここでも、一種の溝となって存在していた。

別に黒人だけが差別されているのではなく、白人も違う意味では差別の対象となっている。立場が変わればどうにでもなる。本作はバスケの革命ともいえることをやり遂げた人物と、そのチームメンバーの栄光をなぞっているともいえるが、ずいぶんショッキングな描写もある。試合に勝ちさえすればいいのか、という批判もずいぶんあったことだろう。本作が全て実話だけに、リアリティのある描写も多数登場する。

チームが崩壊しかけたころ、ある出来事がきっかけでチームの絆が深まる。最後はチーム一丸となって、勝利に向かってまい進する。全てがドラマチックにいかないのが、現実なのだが本作は、まさに映画的な結末を迎えている。熱血コーチと選手達。ありきたりなお涙頂戴熱血モノではなく、事実にそった流れになっている。エキセントリックな展開や、信じられないような逆転劇は、まあない。ただ、最後に全てが実話だというクレジットがでた瞬間に、あーというなんだか良く分からないため息のようなものがでた。

今では考えられない人種差別の流れを断ち切った一人のコーチの物語。流れを変えるのはいつも型破りな人物からだ。



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