学生街の殺人 東野圭吾


2005.8.27 連続しない連続殺人 【学生街の殺人】

                     
■ヒトコト感想
ある事件をきっかけに連続して殺人事件が起こる。こういった場合はたいてい事件に
繋がりがあり、犯人も一人、ないしは複数により共犯だろう。
しかし本作は連続した殺人事件はまったく犯人が別人の為、連続性は感じられず
物語の2/3程でメインの事件は解決してしまう
しかしそれからが盛り上がるところであり、まったく関係ないと思われた事件が
実は裏では微妙に影響していたと最後に気づかされる。
後半はもったいぶってなかなか真相を明らかにしないので、盛り上がりに拍車をかけている。

■ストーリー
学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。
「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して…。
第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく

■感想
ミステリーには必要不可欠な伏線となりえる要素は沢山でてくる。
謎のレザージャケットの男、毎週火曜日にいなくなる女、過去を話さない男、ピアノを絶対に弾かない女。
連続殺人事件もひつ筋縄ではいかず、密室あり、クリスマスツリーに立てかけられた死体ありで
寂れた学生街で起こった事件だけに怪しさもさらに倍増している。

事件の真相は刑事と公平がそれぞれ独自に行うのだが、ありがちなパターンで公平の方がなぜか
事件の真相に次々と近づくことができる。
事件の核心に近づくにつれ、公平は真相を知り始めるがそこでかならず「そうだったのか」とか
「やっぱりそうだ」というような感じでなかなか真相を読者に教えてくれない。
その為にものすごく気になり、物語は解決に近づいていっているが、最後のギリギリまで
真相を知ることができない。
かなりもったいぶられたので、後半は先が知りたくてドンドン読み進めてしまった。

連続殺人だが犯人がまったく別人というのは珍しいと思った。
どちらかというと最初に解決した事件がメインであり、最後の事件はオマケみたいなものだが
その最後の事件が起きるまでの過程で実は深いところで前の事件と繋がっており、
関係性を見いだせるあたりは、作者の力量につきる。

物語はかなりのめり込むことができるのだが、微妙に時代を感じる描写があったり
携帯電話がなかったりと違和感を感じる部分もあった。>




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