ふたりの5つの分かれ路


2006.10.10 誰しもが感じる思い 【ふたりの5つの分かれ路】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ある程度の恋愛経験がある人ならば誰しもが感じることを思い出させる作品。非常に悲しくなる。どんなカップルにも出逢いがあり、良い時があり、そして悪い時もある。最終的に別れる場合は本作を見たときと同じように感じるのかもしれない。冒頭、いきなり離婚のシーンから始まり、過去にさかのぼっていくような形で物語は展開していく。それはまるで別れ際になり、今までの思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡るように、過去の印象的な出来事がよみがえってくる。印象的な音楽と共に、徐々に出逢った頃の幸せな表情を見せる二人を見ると、悲しさと切なさで泣けてきてしまう。ある意味誰もが経験する悲しさかもしれない。

■ストーリー

淡々と事務的に離婚の手続きをする夫婦。手続きの後、とあるホテルに向かい、何年かぶりに、しかし慣れた手順で互いの肌に触れた。けれども愛の奇跡は起こることなく、やがて2人は分かりきった結末に、予想外の道筋でたどりつく。そしてそこから2人の時間は遡っていく・・・。微かに感じていた不協和音がはっきり聞こえた特別なディナーのとき、分かち合うはずの喜びが曖昧に溶けていった出産のとき、幸せに酔いつぶれて小さな翳りを見逃した結婚のとき、そして何の理由も根拠もなく真っ直ぐに恋に落ちていく瞬間・・・。それは、ある男女の人生における5つの分けれ路だった。

■感想
回想形式でもなければ、ナレーションのようなものもない。ただ淡々と場面が切り替わり、突然過去のある場面に飛んでいく。その際に助けとなるのは二人の登場人物の顔つきの変化だろう。だんだんと若くなる二人、それと共に二人の関係も浮き沈みはあるにせよ、楽しく幸せだったころの二人に戻っている。これが誰かの回想であったり、視点であったりすればまた印象も変るのだが、まったく説明もなしに突然場面が変るので、それはまるで自分の回想のように思えてしまう。

ある程度の恋愛経験がある人ならば、別れは経験したことがあるだろう。別れる直前に考えていることはもしかしたら本作のようなことかもしれない。出逢った頃から現在へ至るのではなく、現在から戻って行くような形式だというのも物語の悲しさを増大させている原因なのだろう。二人のカップルの印象的な出来事も一般的ではあるが、この夫婦は微妙に違っているというのはある。しかしそれは特別大きなことではなく個性の1つだと感じてしまう。

印象的な音楽と、淡々と進む物語。二人の結末を知っているだけに、幸せそうに過ごす二人の姿を見ると、悲しくなってくる。そして、それは自分の思い出とも少しづつリンクしていき、過去に別れた経験がある人ならば、何かしら感じるものがあるだろう。回想というのでもなく懐かしさでもない、しかし思い出として心の中に残っている昔の何かをふと思い出させるようなそんな作品だ。



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