フリーダムランド


2007.9.13 イラついてしかたがない 【フリーダムランド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
今までつまらない作品は沢山見てきた。しかし、これほど登場人物にイラついたのは始めてかもしれない。ブレンダの行動がいちいち気になり、あのヒステリックに騒ぎ立てる場面にはイライラ感は頂点に達した。子どもが誘拐され、その捜査のため沢山の人に多大な迷惑をかける。それでありながら、混乱し、騒ぎ立て、なかなか真実を話そうとはしない。このブレンダが完全な悪役扱いならば、なんの問題もないが、終始被害者扱いなのが一番の問題なのだろう。結局最後までこのトーンで終わってしまった。見ていてストレスばかり感じる作品だ。

■ストーリー

ある日、手を血まみれにした女性ブレンダが病院に現れた。彼女は子供が誘拐されたと証言するが、目撃者もなく、さまざまな疑惑が渦巻いていく。果たして真実は?刑事ロレンゾが捜査するにつれて明らかになる真相、そして最後には衝撃的な結末が……。

■感想
人種差別問題や子ども虐待問題など、社会が抱える問題を鋭く描いているつもりなのだろうが、ただ、それらは人をイライラさせる材料となっているにすぎない。誘拐犯を捕まえるため、黒人街を封鎖する。そして白人対黒人の図式を作り上げ、それらを引き起こした元凶であるブレンダに対して非難を集中させる。この流れならば、一番怪しい人物が潔白で、何もない脇役が犯人だったという流れが正解であり、そうであればこれほど後味は悪くなかっただろう。

本作の流れは、このブレンダにどれだけ感情移入できるかだが、恐らく誰もできないのではないだろうか。最後まで渋い味を出し、人間味溢れた頼れる男だったはずの刑事ロレンツは、結局ただの間抜けな親父に成り下がり、周りの人々はバカを見ただけだ。これらはすべてブレンダの責任であり、そのブレンダの扱いが、決して悪者ではなくかわいそうな人という扱いになっているのが、
むかつく一番の原因なのだろう。

なかなか真実を話さないブレンダ。その精神に異常をきたしたようなしゃべりと、動き。俳優の演技がすばらしいといえるが、悲しいことに絶対に観客には受け入れられないだろう。ミステリーという前提で見ると、あまりに謎がお粗末過ぎる。そして、まったくカタルシスがない。見てもただストレスが溜まるだけだ。

久しぶりに登場人物にこれほどまでイライラ感を覚えた。逆に考えると、こう思わせるのは作品の力なのかもしれない。とんでもない駄作であれば、イライラさえ感じないのだろう。



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