フライ,ダディ,フライ


2007.1.23 漫画的展開 【フライ,ダディ,フライ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
漫画的に言うと娘の敵をとるために修行し、段々と強くなり、最後に巨大な敵と戦って勝つ。簡単に言うとこんな話だ。二、三ヶ月特訓したからといって平凡なサラリーマンがボクシングの高校チャンピオンに勝てるとは思わない。あくまでユーモアあふれるコメディとして観るべきだろう。見所は鈴木の特訓シーンと高校生たちの絡み。あとは鈴木の成長する姿か。不器用ながら必死に頑張る鈴木の姿を観て心打たれるサラリーマンはいるかもしれない。それはちょうど作中にでてくる平凡なサラリーマンたちが鈴木を応援するように。

■ストーリー

円満な家庭の中幸せな生活を送るサラリーマン・鈴木であったが、夏のある日、愛娘が友人と訪れたカラオケ店でからんできた他の高校の生徒でボクシングの高校チャンピオンである石原に殴られ入院し、心を閉ざしてしまう。鈴木は石原へ復讐を果たすべく包丁を持って石原の高校へ向かうが、高校を間違え在日高校生であるスンシンに伸されてしまう。そんな鈴木に対し、話を聞いたスンシンやその仲間は、石原に一矢報い、鈴木の家族の絆を取り戻すべく、ある計画を立てるのだが・・・。

■感想
漫画的展開があちこちにちりばめられている。巨大な壁に立ち向かう平凡なサラリーマン。サラリーマンを嫌々ながら特訓する不良高校生。だんだんと心を開いていく娘。夫を陰で見守る妻。協力する高校生たち。全てがお膳立てされ、ヤングマガジンあたりの青年誌にありそうなストーリーだ。観衆は鈴木に感情移入し、鈴木を応援する。結末がどうなるかだいたい予想がつき、その予想を裏切らない展開となる。観ている者の期待は決して裏切らない。

鈴木をサポートする高校生たちが良い味をだしている。特に声に特徴がある高校生は何であんなに存在感があるのか。下手したらスンシンよりもインパクトがあるかもしれない。この高校生たちを中心にユーモアあふれる流れになっているが、押し付けがましい笑いではなく、笑いとも感動ともとれるような微妙な場面を多数用意している。人によっては鈴木の姿に感動してむせび泣くかもしれない。

スンシンの奇妙な踊り。これが何を意味しているのかわからないが、異様な雰囲気をだしていたのは確かだ。喧嘩が強い不良というイメージはあまりないが、身軽さと眼光の鋭さで何かとんでもない技の達人なのかと思えるほどだ。バレエを彷彿とさせる踊りが不自然でなく似合っている。バレエが似合う不良高校生というのも奇妙な部分ではあるが。

コメディとも感動ものともとれる。これは観る人によるだろう。同じサラリーマンだからといって全ての人が感動するとは限らないが、何かに抑圧されているような人は本作を観ると思いっきり吹っ切れることができるかもしれない。



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