エクセス・バゲッジ


2006.10.12 デル・トロファンは必見 【エクセス・バゲッジ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
最初はむかつくキャラクターだったエミリーのキャラクターも時間が経つにつれてビンセントとの掛け合いがまるで夫婦漫才のようにしっくりとしてきた。そしてそれと共に物語りも面白さもうなぎ上りだったのだが、後半に入って突然、恋愛モードが加速度的に増加していき、最初の勢いがなくなってしまった。しかしベネチオ・デル・トロのちょっと抜けているようなお惚けキャラはかなりはまり役だと思った。このキャラクターとベネチオ・デル・トロの素の魅力があわさって、とても楽しい作品となっている。エミリーとビンセント、この二人が最後まで微妙な関係であったほうが物語り的には面白かったのではないかと感じた。

■ストーリー

裕福なお嬢様とトボケた車泥棒が繰り広げる逃避行を描くロードムービー・コメディ。富豪である父親が、自分を愛しているのかどうか分からない娘エミリーは、狂言誘拐を思いつく。ひとまず家の車のトランクに隠れるが、車泥棒のビンセントが車を盗んでいってしまう。トランクから出たエミリーは、仕方なくビンセントと同乗するが、既にビンセントは誘拐犯として手配されていた。

■感想
スーツ姿で登場するビンセント。最初はどこかスカした感じがしたのだが、そのゆったりした雰囲気とちょっとお惚けのような表情、そして極めつけはエミリーをどうやって扱っていいか四苦八苦する姿を見ると、それだけでこのキャラクターの魅力の虜になってしまう。ある意味、出演者目当ての作品といっても過言ではない。特にデル・トロファンならば見たほうがいいだろう。

ふとしたきっかけで誘拐犯に間違われ、その後ドタバタ劇が始まるというのはよくあるパターンかもしれない。その中で本作の特徴というのはエミリーとビンセントの掛け合いというのもあるが、それよりも大ボス的な悪役が一切登場しないということだ。いるのは元軍人で頼りがいのあるエミリーのおじさんくらいで、そのほかにはちょっとしたチンピラが登場するだけだ。その関係でビンセントは窮地に立たされてはいるがそれほど切羽詰ったようには感じられなかった。その辺は本作の失敗かもしれない。

エミリーのわがままっぷりもさることながら、本作ではビンセント以外にも強烈なキャラクターが存在する。それがエミリーのおじさんだ。このおじさんは終始落ち着きはらっており、頭も切れて行動力もある。そして元軍人だけあって頼りがいもある。エミリー、ビンセント、おんじさん。この三人で本作はもっているといってもいいだろう。

前半はドタバタコメディなのだが、後半は
突如として恋愛映画風になっている。できることならこのままドタバタコメディで最後の最後に恋愛の雰囲気をちょっとだけ出すという程度にしてほしかった。そうすればエミリーとビンセントの二人の掛け合いもそのままのテンションで楽しめたと思う。



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