同級生 東野圭吾


2005.5.24 熱くなってしまう 【同級生】

                     
■ヒトコト感想
読んでいると熱いものがこみ上げてきた。 特に前半の教師に対して反抗する場面ではものすごく共感した。 嫌な教師の描写がとても的確なので、読んでいる者としては かなり感情移入できた。 教師に反抗していた学生時代の気持ちを思い出してしまった。

■ストーリー
同級生の宮前由紀子は俺の子を身ごもったまま、 そして俺の愛が本物だったと信じたまま事故死した。 俺にできる償いは本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴くことだけだった。 やがてある女教師が関わっていたことを突き止めるが、 彼女の絞殺体が発見されるや、一転俺は容疑者にされてしまう。

■感想
学生時代、特に中学、高校あたりでの教師に対するイメージは良くない。 その時期特有の反抗精神により意味もなく反発したものだ。 本作も事件の発端となる出来事として教師への反抗があり、 それに対する教師の態度もまた、より反抗心を増長させるものなので 読んでいてとても共感でき、熱い何かがこみ上げてきた。

前半の流れからある事件をきっかけにミステリー色が強くなるのだが、 そこで急に金田一少年の事件簿のように探偵ごっこが始まってしまう。 流れ上しょうがないのかもしれないが、なんとなくありきたりな感じはした。

トリックがどうとかよりも登場人物達の内面で理解できないことも 多々あり、それが最後まで納得できなかった。

東野作品特有の複雑な構成や多数の伏線があるというわけではなく、 後半はちょっとテンションが下がったような感じだ。 学園ミステリーがデビュー作なのだが、なんとなく学園ミステリーは 向いていないような気がしてならない。 他にもすばらしい作品が沢山あるのでどうしてもそちらに目がいってしまう。




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