ドア・イン・ザ・フロア


 2008.4.14  仮面夫婦の真相を探る 【ドア・イン・ザ・フロア】  

                     

評価:3

■ヒトコト感想
一見どこにでもありそうな普通な家庭で、普通に夫婦が別居しているだけと思いきや、非常に複雑で根が深い。ある出来事がきっかけとなって別居を始めた夫婦もそうだが、そこに作家見習いとしてアルバイトに来た少年エディがなんとも複雑さを増幅させている。夫婦間の問題というのは、なかなかはっきりと明確にすることはできないと思う。本作はそれを、様々な角度から表現しているようだった。事故で無くなった子供のことであったり、テッドの浮気癖だったり。ただ、はたから見ていると、どれも決定的なようには感じられなかった。というよりも、この夫婦の順風満帆な時期がほとんど想像できなかった。別れるべくして別れた夫婦のようにしか見えなかった。

■ストーリー

児童文学者のテッドは、妻マリアン、4歳の愛娘サラと、裕福な暮らしをしていた。その夏、テッドは名門高校に通い、作家を志す少年エディを、助手のアルバイトとして自宅に住まわせる。希望に胸を膨らませるエディは、やがて家族の様子がおかしいことに気付く。テッドは、スカッシュと絵のモデルとの浮気に明け暮れ、創作活動をする様子もない。美しい妻のマリアンとは、半別居状態だ。そして、夜中に家族の写真を見つめ、何か呟いているサラ。やがてエディは、家族に隠された悲しい過去を知るようになる。

■感想
客観的に見ると、すべてテッドが悪いように見えてしまう。浮気のことや、創作活動など。ただ、本作のテッドは愛すべきだめ親父のように見えてしまった。普通、別居中の夫婦で、夫の浮気がその原因だったとしたら、ものすごいエロオヤジを想像するのだが、本作のテッドはそうゆうわけではない。絵のモデルを口実にするというのは、多少そんなイメージを持たせるが、それ以外は、愛すべき駄目親父だ。すべてがマリアンの想像どおりに行動し、そして、それに気づかないテッド。なんだかほんの少しテッドがかわいそうに感じてしまった。

小説志望の少年エディ。最初はすべてエディが主役なのかと思っていたが、予想外にテッドのキャラが立っているため、エディがなんだか、かすんでしまったような感じだ。アルバイト先の人妻と不倫関係となりそれを別居中の夫に知られるという失態をおかしながら、その生活が普通に続くという異常性。テッドは惨めでしかないはずなのに、やけに自由奔放なイメージが付きまとうのは、テッドの駄目オヤジっぷりがそう見せているのだろう。パソコンを使わないというあたりも、そのイメージを定着させるのに役立っている。

夫婦とエディともう一人の主役ともいうべき愛娘のサラ。家族すべてがサラを中心として動いているといっても過言ではないはずなのに、後半ではその存在感が一気に薄れてしまう。正式な離婚にいたっては親権を主張しない母親などはまったく想像できない。すべてがギクシャクしたまま、最後はなんだか少しギャグっぽくも感じてしまうほどだ。これほど物語のトーンが最初と最後で大きく変わったように感じさせるものも珍しい。

ところどころにクスクス笑える描写があるのはすばらしいと思うが、全体的に何が言いたかったのかよくわからなかった。




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