ディパーテッド


2007.1.25 オリジナルに負けていない 【ディパーテッド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
オリジナルであるインファナルアフェアは傑作だった。どの程度リメイクされているか気になったが映像はほとんどオリジナルそのままだ。元々完成された作品であるというのもあるが、ここまでオリジナルに忠実なのも珍しいだろう。ただ感じ方はオリジナルとリメイクでは随分違った。悲しさや寂しさを感じたのはオリジナル版で、強さや激しさを感じたのがリメイク版だ。演じる俳優の影響が大きいのかもしれないが、ビリーの激しさがそのまま作品の激しさに繋がっているような気がした。

■ストーリー

犯罪者の家に生まれながら、まっとうに生きることを誓って警察官になり、マフィアへの潜入捜査を任されるビリー(レオナルド・ディカプリオ)。一方、マフィアの指示で警察官となり、警察の内部情報をボスに流すコリン(マット・ディモン)。素性を知られないためのふたりの攻防は、衝撃的な事件へと発展していくのだが・・・。

■感想
どうしてもオリジナルとの比較になってしまうが、リメイク版はオリジナルにはない緻密さというのを感じた。ビリーがマフィアから信頼を得るまでの過程が細かく描かれており、ご都合主義的にマフィアに潜入したのではないことをアピールしている。全ての出来事に必然性があり、もちろん行動にも必然性がある。ただビリーの荒っぽさがオリジナルとの雰囲気の違いを現していた。オリジナルではビリーの役はもう少し物悲しさや神経質な部分が見え隠れしていたが、ビリーにはそれを感じなかった。

もう一つ大きな違いといえばマフィアのボスの雰囲気だろう。オリジナルが笑顔の裏に隠された恐怖とすれば、リメイクは即物的にそのまま現される恐怖。どちらも怖いが、何を考えているかわからないのはオリジナルの方だったかもしれない。マット・ディモンの役に関しては、似たりよったりの雰囲気だった。

すでにオリジナルでストーリーを熟知しているためか、前半は退屈に感じた。しかし後半はストーリーをわかっていながら引き込まれるものがあった。全てが崩壊していく過程で、オリジナルのような物悲しさはないが、強く激しい感情で
全てが無に帰ってしまう、そんな印象を受けた。オリジナルにはないキャラクターで最後は締めくくっていたが、オリジナルは三部作、本作が一作で完結するためにはベストな方法なのだろう。意外にこのリメイク版のみのキャラクターがいい味を出していたと思う。

オリジナルを観た人でも、新鮮な気持ちで楽しめると思う。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp