ディセント


2006.8.6 見ている自分が恐ろしくなる 【ディセント】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
極限まで追い詰められた人間の狂気と、それを見て体が熱くなる観衆。途中まではなんてことない単純なホラーで、舞台が暗く狭い洞窟というだけで特に特徴はないと思っていた。しかし洞窟で迷い始めてから女6人の人間関係に多少ギクシャクする部分が生まれ、決定的になったのは謎の地底人が登場してからだ。人間というのはここまで凶暴になれるのか、そして恐ろしいことにそれを見ていて、殺されるよりは殺してしまえという同じ気持ちで見ていた。女が地底人の頭にハンマーを振り下ろしたり、両目に指を突っ込む場面を見て心躍るような興奮する気持ちをおぼえてしまった自分が怖かった。

■ストーリー

冒険好きのサラは、一年前の交通事故で愛する夫と娘を失ったショックからいまだ立ち直れずにいた。そんな彼女を励まそうと、友人たちが冒険旅行に誘う。リーダーのジュノが企画したのは地下洞窟探検。参加したのはサラとジュノを含め女性ばかりの6人。ロープを伝って穴の中へと降りていく一行。最初は順調だったが、突然の崩落事故で出口をふさがれてしまう。さらに悪いことに、功名心にはやるジュノは皆に内緒で前人未踏の洞窟を選んでいたのだった。そしてそこには得たいの知れない者の気配が・・・。

■感想
まず普通に洞窟探検をするというのが一般的ではない。洞窟といってもちょっとしたものではなく、ロープや発炎筒などしっかりと装備を整えて入らないといけない洞窟だ。洞窟に入ると薄暗い中で光がチラチラと漏れる中で水の音だけがピチャピチャと聞こえてくる。人は暗闇に恐怖を感じるというが、暗闇の中で一定間隔で聞こえるリアルな水の音もそうとう怖いと思った。

表面上は中の良い6人の女。女同士というのはどこか心の奥にわだかまりを持っていても、それを決して表にだすことはない。それはアメリカ人でも同じなのだろう。多少ギクシャクした状態での洞窟探検ということに何かひと悶着ありそうな雰囲気は十分に感じ取ることができた。そして予想通り何かが起きる。ホラーの定番として仲間が一人づつやられていくなかで、
次は誰だという恐怖が押し寄せてくる。

勝手な予想としてこれまたホラーの定番だが一人だけは生き残りそして何かを悟ったように新たな未来へ向けて出発する。その際小道具として登場したビデオが後々何かのキーになると思っていたが、結局それは何にも使われることはなかった。

謎の地底人に対する答えは最後まで解明されないが、地底人対女の戦いは見ていて熱くなった。客観的に見ると実は体も小さいし武器も持たないので弱い地底人。その弱い地底人をハンマーで思いっきり頭をつぶす様は、今まで恐怖におびえていたとは思えないほどの狂気の表情だった。その狂気を見て気持ちが熱くなり爽快感のようなものをおぼえてしまう自分も恐ろしかった。

後味は良いとはいえないがホラーとして十分に楽しめる作品



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