DEATH NOTE the Last name


2008.2.28 ラストは原作を超えている 【DEATH NOTE the Last name】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
酷評あり絶賛ありと賛否両論のようだが、自分の中では十分楽しめた。原作を読んでからだいぶ時間が経過しているというのもあるが、ストーリーを思い出しながら、独特な緊迫感と頭脳戦にどきどきしながら楽しむことができた。細かいことを考えると、いろいろとご都合主義な部分も見えてくるが、そんなことには目を向けず、大きな流れで見るととてもよくできていると思った。特にラストの展開は、原作にはないかなり意外な結末だった。その手があったかと、もしかしたら原作者も思ったのかもしれない。終わりよければすべてよしではないが、このラストを見せられると全体の印象もとても良くなる。あまり評価は高くないが、ボクの中では好きな作品の一つである。

■ストーリー

死神リュークが地上に落とした“デスノート”を拾った夜神月は、犯罪のない理想郷を作ろうと犯罪者の名をノートに書きつづけ、彼はやがて「キラ」と呼ばれる救世主となる…。宿敵Lの息の根を止めようと「キラ対策本部」に入り込んだ月、月がキラである証拠をつかもうと罠をめぐらせるL。そのふたりの闘いに、もう1冊のデスノート、第2のキラ、死神レムなどが現れ、月の歪んだ正義はエスカレート。悪を葬るために殺人を正当化しようとする彼の、暴走する狂気は続く…。

■感想
細かいあらを探そうと思えばいくらでも見つけることができる。今までの神経質なまでの慎重さからは別人と思えるほどの無謀さや、キャラクターの造詣がころころと変わるなど、気になる部分はある。しかし、作品全体の緊張感と、見るものをしっかりと掴んで離さない構成はとても優れていると思う。原作漫画では、頭脳戦と共に、ひりつくような心理戦が見ものだったが、本作もそれが踏襲されている。映画版として追加された演出も違和感なく見ることができた。特にL役の松山ケンイチはこの役で評価がまた一段とあがったのではないだろうか。

主役二人の演技は当然素晴らしいのだが、脇役の特に天音ミサは微妙だ。しかし、見方を変えると、この微妙な演技も、もしかしたらキャラクターとして成り立つのかもしれない。最初は違和感を感じまくった天音に対しても、後半はすんなりと受け入れられたのはその効果なのかもしれない。キャラクターを描くということに関しては漫画というメディアで先に出来上がっているため、あえて映画でキッチリと性格づけをする必要が無い。漫画を読んだ人にとっては違和感を感じながらも受け入れられるが、初見の人は少し混乱するかもしれない。

本作の一番素晴らしいところは、漫画が商業主義にはしり、だらだらと結末を先延ばしにしたことで緊張感がなくなったことにくらべると、非常に簡潔でよかった。まさかそんな手があったとはと思わせるほど衝撃的な結末だと思う。漫画原作者も、本作を見て悔しがるかもしれない。月とLとの戦いの結末にはふさわしいラストだと思う。僕の中では漫画よりも映画の方が優れているようにすら感じてしまった。それはすべてラストの出来のすばらしさからなのだろう。

複雑なストーリーをキッチリと時間内におさめ、二時間半という長時間を飽きることなく引き付けることができるのは優れた作品と言えるのだろう。



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