DEATH NOTE


2006.10.30 マンガ原作もすてたもんじゃない 【DEATH NOTE】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作の面白さをどこまで表現することができるか。原作を読んでいる人間ならば誰もが気になるところだろう。本作はその心配をよそに予想以上に面白さを表現できていたと思う。個人的には原作の一番面白かった部分であるLとの対決(それ以降は・・・)おそらく映画ではそこまでで完結すると思うのだが、複雑なストーリーをうまくまとめており、後編への布石としては十分過ぎるほど役割を果たしていると思う。脇役のなんだか微妙な演技はあるにしても、スリリングな頭脳戦は表現できていると思う。マニアックな部分に走らず、一般ウケを目指したのは大成功かもしれない。

■ストーリー

名門大学に通い、将来の警視総監を嘱望される天才・夜神月(やがみライト)。彼は偶然手に入れた、名前を書かれた人は死んでしまうノート“デスノート”を使い、法で裁かれない犯罪者を次々と殺していく。その目的は犯罪のない理想社会の実現だ。一方ICPO(インターポール)は犯罪者の大量死を殺人事件と考え捜査を開始。世界中の迷宮入り事件を解決してきた謎の探偵・Lを捜査に送り込んできた。そして月とL、2人の天才による壮絶な戦いが始まるのだった。

■感想
原作の面白さを監督なり作り手がどれだけ理解して映画を作るか、これにかかっていると思う。特に本作のように原作が複雑でなおかつ漫画が原作というある意味映像化しやすいかわりに、見るものにはそれだけ固定観念ができてしまっている。これをうまく昇華させ、映画独自の色を出すのは非常に難しい作業だと思う。約2時間という短時間でストーリーの大まかを理解させようとして説明的な作品になったり、逆にストーリを取っぱらい印象的な場面のみで構成させたりといろいろあると思うが、うまくやらなければ手ごわい原作ファンにぼろくそに叩かれてしまうだろう。

本作に対する原作ファンの評判はよく分からないが、僕自身見た感想では十分合格点を与えていいのではないかと思う。脇役の演技がイマイチだとか死神がそこだけ浮いているとかあるのかもしれないが、本作の肝であるデスノートを使った殺人とそれを追いかけるLと警察たちという対立形式。そして
二手三手先を読んだ駆け引き。これらをうまく構成することによって上質なミステリーを思わせるようなハラハラドキドキ感を味わうことができる。

本作が原作を未読の人にどれだけ楽しさを伝えることができたかわからないが、映画をきっかけにして漫画を読む人もいるだろう。それだけの力はある作品だと思う。ただし漫画が商業主義から後半にダラダラと冗長的になり、惰性で続いていたのと同じように本作が優れていても後編が駄作であれば作品全体としての評価は下がってしまう。できることならば原作の面白さである、しびれるような頭脳戦をうまくつかい、きっちりと仕上げてほしい。

気になる部分に目を瞑れば、ストーリー、演出と十分楽しめる作品であると思う。漫画大国である日本ですばらしい漫画が生まれても、それを映画化するのは韓国であったりハリウッドであったり。今まで海外に取られていた優秀なコンテンツを本作の成功をきっかけに日本でも映画化が盛んになれば日本映画もまだまだ韓国に負けないくらいの力はあると思う。



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