大統領の理髪師


2005.8.24 笑えたり、泣けたり 【大統領の理髪師】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
韓国の歴史的出来事をある平凡な理髪師の目から見た理不尽さや実情をおもしろおかしく 表現している。韓国の歴史に詳しくないものとしてはその面白さに気がつかない部分もあるが、 理髪師自体も大統領専属といえども政治にはうとく、そういった面では同じ目線で 政治的出来事を見ることができる。 民主主義と言いながらも権力者に翻弄されるのはいつの時代も弱い者だ。 平凡な親子だが、根底にある親子愛に少しホロリとさせられる場面もある。

■ストーリー
1960~70年代の韓国で、大統領官邸のある町に住んでいたことから、 大統領専属の理髪師となったハンモ。不正選挙や軍事クーデター、 北側の脅威などを背景に、彼の一家の物語が、 息子が語るナレーションとともに綴られる・・・。

■感想
韓国の歴史にうとい者としては、ある事件がどういった経緯で何のために起きたのかは 詳しく知らない。しかし、理髪師のドタバタ具合でそれが具体的にどういった影響があったのか を詳しく知ることができたが、歴史的背景を知っていればより楽しめたのだろう。

平凡な理髪師がある日、大統領専属に大抜擢される。これは本来なら喜ぶべきことなのだろうが、 時代が時代だけに、大統領の独裁政治の元では理髪師といえどもその苦労は並大抵ではないのだろう。 比較的大統領は良い人物に描かれ、問題はその側近達が癖のある人物であり、 お決まりの権力闘争に巻き込まれつつ、大統領の食事会に呼ばれれば、身分の違いを まざまざと思い知らされたり・・・。 見ている者に同情させるような場面が続く。

理髪師ハンモの平凡な顔つきと人の良さそうな風貌、さらに息子もどこか幸薄そうな雰囲気であり お決まりだがいじめられっ子である。 韓国での理髪師の地位がどれほどのものか分からないが、親が理髪師であるだけでいじめのネタに なるものなのだろうか?そのへんは文化の違いなのだろうか? 幸薄な息子に、ある災難が降りかかるが、それをどうにかしようと奮闘する父親の姿を見ていると、 平凡な理髪師であるがゆえにそのがんばりにちょっとホロリとしてしまった。

韓国の歴史に馴染みがなくとも十分に楽しめ、笑うことができ、最後には少しホロリとなる。 演じている俳優もすばらしいのだろうが、息子が語るナレーションというのがとても 心に響いてしまう。



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