大日本人


2008.3.18 ごっつええ感じのヒトコマ 【大日本人】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
完全なるごっつええ感じのコントだ。恐らく、事前に情報が漏れていれば、これほど話題になることはなかっただろう。驚愕のラストはもちろんのこと、映画としては明らかに異端すぎる。映画のコラムを連載しているので、映画のことは良く知っているはずだ。あえて、既存の映画と比較されるのを嫌がり、普通では評価できない作品として挑戦したのだろう。正直言えば、コントに逃げることなく、一般的な構成で映画として勝負してほしかった。それがたとえ、とんでもない駄作だったとしても、納得はできる。映画コラムを連載し、偉そうなことを書いているからこそ、作りにくかったというのもあるだろうが。なんだか、あまりに寂しすぎる。

■ストーリー

高圧電流を流されると大きくなる特別な遺伝子を持ち、それゆえに昔から時に現われる妖怪たちを退治して生きてきた家系の出である大佐藤(松本監督が演じる)。そんな人間が本当にいたらどうなるのかという観点で物語は進む。つまりドキュメンタリータッチで大佐藤へのインタビューをメインに映画は構築されているのだ。信じられない展開のラストへの昇華は、もはや映画とは呼べない。

■感想
大日本人。良い部分を上げるとしたら、奇妙な音楽とあいまあいまに挟まれるベタベタなギャグ。なんだか、こうなるだろうなぁと想像すると、それがそのまま画面上に現れると、普通ならば少しがっかりするのだが作品の雰囲気が、それを受けてなお笑いを起こさせる何かがある。マーケティングの戦略上、内容を伏せていたのは大成功だろう。完全なコントという触れ込みがあれば、それ相応の心構えで見てしまう。結果としては、笑いには繋がらない。予想外な展開が起こることを期待しつつも、ベタベタな展開というのはちょっと心地よかった。

観衆を引き付ける魅力が、本作にはどれほどあったのだろうか。お笑い番組のワンコーナーではなく、映画として二時間弱をどのように集中して見させることができるか。正直、途中でダレるというのが本心だ。CGの獣や巨大ヒーローの違和感溢れる表情。どれをとっても新しくもなければ古くも無い。中途半端に金を使いました的なものをヒシヒシと感じることができる。そして、最後はまさに、ごっつええ感じそのままの終わり方。これをテレビで放映する勇気ある局は存在するのだろうか。

海外の評価と日本の評価が分かれるのは当然であり、松本人志を知らない海外メディアの評価は高いのかもしれない。しかし、日本でこれは…。まぁ、散々酷評はされていると思うが、ニヤリと笑える場面があることは確かだし、変に押し付けがましくないのはいいのかもしれない。テーマは何で、この作品は何を言いたいんだ!ということを声高に叫ばないかわりに、テレビのバラエティ番組のワンコーナとして捕らえられてしまうつくり。これはこれで、ありなのかもしれない。

次回作を撮るのかわからないが、次回こそはちゃんとした(何が?)映画を撮ってほしいものだ。



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