コントロール


2006.9.21 何気によくできている 【コントロール】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
それほど期待せずに見て、思いのほか面白かったりするとその評価は高くなる。本作もまったく予備知識なく何も考えずに見たのだが、非常に良くできていると感じた。ありきたりなストーリーかもしれないが、犯罪者であるリーと薬物治療によって構成したリー。同じ人物だとは思えないほど顔つきが変っている。真剣に同じ俳優だとは思えなかった。物語は更正したリーがどのような行動を取るかに焦点が当てられており、更正してからの無垢で純粋な表情を見ると幸せになってほしいという気持ちにさえなってくる。博士からすると自分の子供のような気持ちなのだろうが、見ている者にとっても同じような気持ちにさせる何かがある。

■ストーリー

死刑を宣告された凶悪犯がその命と引き換えにある医学プロジェクトへの参加を余儀なくされる。新薬“アナグレス”の投与を巡り、犯罪者・リーと博士との心理操作作戦が始まる。

■感想
薬物治療によって冷酷非道な犯罪者が更生していく。その過程には博士との信頼感があり、組織の上層部からたたかれてもプロジェクトを守り通そうとした博士の心境。それらを全て包み隠さず表現することによって、見ているものに感情移入をしやすくしている。更生したリーが特別変った容姿をしているわけではないが、その雰囲気と表情で見ている人を穏やかにし、健気に働く姿を見ると応援したくなる

それほど大作ではないので、期待されなければ、批判もされない。しかし中身は充実しており、予想外に集中して見ることができた。それは様々な要因が重なっているとは思うが、犯罪者であるリーと更生したリーの気持ちに一貫性があり、それがポイントとなって、うまくいっていた更生後の生活が少しづつ壊れていく部分をみせつけられると、結末はある程度予想できるがその結末にはたどりついてほしくないという気持ちが生まれてくる。

多少ミステリーな味付けはされているが、謎の薬であるアナグレスのことよりも、それらを製造したバックグラウンドと人類の凶悪犯をなくそうという壮大な計画のもとに成り立っていることがポイントなのかもしれない。最後に博士はその目標を違うアプローチの仕方で実現しようとしている。

物語の流れは一本調子なのだが、それでもポイントはしっかり抑えられており、飽きないような流れになっている。全体的な評価としては並かもしれないが、期待していなかっただけに自分の中での評価はかなり高くなってしまった。



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