チェックメイト


2008.3.3 透視能力の必然性がない 【チェックメイト】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
微妙というかなんというか…。透視能力を持った刑事が連続殺人鬼を追い詰めるまでを描いている。ありきたりな流れと透視能力の特殊さをまったく活かしていない。正直、別に透視能力はなくてもいいのではないかと思えるほどだ。事件をチェスにみたて、いったい誰が犯人かという思いを募らせる。そして、最後にはあっと驚く人物が犯人とわかる。まぁ、定番なのだが、先が簡単に予想でき、どこかの映画からもってきたストーリをつぎはぎしたような感じだ。ストーリーを通してのまとまり感が感じられず、最後の「チェックメイトだ」という言葉を聞いて思いっきり脱力してしまった。

■ストーリー

透視能力を持つ刑事と謎の連続殺人鬼との息詰まる攻防戦を描く傑作アクション・スリラー!ロスを震撼させた、猟奇殺人事件。被害者は裁判で無罪になった、殺人容疑者たち。全員が、チェスの駒を握り締めて死んでいた。逮捕されたページという男は処刑されるが、その直後、再び同じ手口の連続殺人が発生する。ロス市警のマーロウ刑事は、特殊な透視能力を駆使して対抗するが…。

■感想
監督はもしかしたらセブンのような作品を目指していたのだろうか。被害者が激しく殴打されたシーンやグロテスクなシーンなどが多数登場し、事件の残酷さばかりをイメージさせる。そのくせ、肝心な透視能力ではいつも犯人の顔を見ることができない。あまりのご都合主義的展開に、あっけにとられてしまった。仲間が次々とやられていくのだが、それに対してもたいした感情はない。キャラクター的に特別な思い入れもないままにドンドン物語が進んでいくからだ。

犯人は絶対にメインキャストの中にいる。もちろん本作もこの基本をしっかりと抑えている。そして、その動機であったり怪しい動きであったり、その前の伏線であったりがすべてうまく機能していない。全体として統一感がないのだろうか。見終わったあとには、いったいなんだったんだろうかというような、微妙な思いが一番強く残った

本作を褒めるとしたら、しいて言えばDNA鑑定のくだりだろうか。過去に逮捕した犯人のDNAがまた現場で発見された。この流れであれば、どんなトリックを使ったのかかなり気になる部分ではある。しかし、ふたを開けてみれば、なんてことない答えだった。印象深い部分はあるが、肝心の透視能力の魅力や必然性を感じないために、マーロウがただの道化にしか見えなかった。ミステリーとしての基本は抑えているのだろうが、決め手に欠けている。

事件をチェスに見立てるのは面白いが、それも結局、特別な理由があるわけではないので、見終わった後の印象に残ることはない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp