キャンディ


 2008.6.30  ドラッグの真の恐ろしさ 【キャンディ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
詩人と画家。どちらも芸術的感性が必要な職業であり、それらにかかわる一組のカップルがドラッグに溺れるのはなんだか必然のように思えた。一般人では到達できない高みに登ることによって、芸術的な爆発力で作品を生み出すのだろうか。ドラッグに溺れる二人よりも、その周りの人々の方が印象深い。特にキャンディの両親だ。本来なら裕福な家庭のお嬢様であるキャンディがドラッグに溺れる姿を見ても何も手出しできない。金を無心するダンのいいなりになる両親。ドラッグの恐怖よりも、まわりの人々の係わり方の方が問題のように感じられた。ドラッグの恐怖を、異常でグロテスクな描写をあまり用いることなく、端的に表現した作品かもしれない。

■ストーリー

家族から見放された孤独な詩人ダンと画家志望のキャンディは愛し合うカップルだったが、ふたりともドラッグ依存症だった。薬でハイになっている日々は、楽園のようだったが、やがてお金が底をつき、キャンディは娼婦として働き始める。そんなふたりが結婚、妊娠…。ふたりは子供を授かったことで麻薬をやめる決心をするが、その後、禁断症状に苦しめられ、そして悲しい現実に直面する…。

■感想
ドラッグの欲求というのはどのようなものなのだろうか。もしかしたら喉がカラカラの状態で灼熱の砂漠の中、一杯の冷たい水を目の前に置かれたような感覚なのだろうか。常人では理解できないドラッグの恐怖。ドラッグに溺れることで、どのような未来がまっているのか。抜け出そうとしても抜け出せないドラッグの渦から、必死にもがき苦しむ様がありありと伝わってくる。当たり前のようにドラッグをきめる描写が描かれているが、非常に衝撃的場面だ。

ダンとキャンディ、二人をとりまく世界が恵まれていないというのも不幸の始まりかもしれない。どういった経緯でドラッグの道へ走り出したかわからないが、ドラッグに溺れる二人に、誰も手出しできない雰囲気を感じた。いい大人となった二人の世界に誰も足を踏み入れることはできない。それはキャンディの両親でさえも同じだ。大事に大事に育てた娘がある日ドラッグまみれになっている。助けたいという思いはあるが、どうしていいのかわからない。キャンディの両親の戸惑いは、現代の中、上流家庭の事なかれ主義に通じる部分なのかもしれない。

子供というきっかけがあり、やっと目を覚ます二人。しかし、時すでに遅し…。ドラッグの真の恐ろしさというのを一番感じる場面だろう。禁断症状もそうだが、その脱力感が一番インパクトがある。水が高いところから低いところへ流れるように、人も簡単に楽なほうへ流れてしまうのか。ダンとキャンディのようなカップルがどの程度存在するのかわからない。芸術的な職業につくものだからというのは、いいわけにはならない。何が一番悪いのか、絶対にこうはなりたくないと思えてしまった。

反面教師としては優れている作品だ。



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