ブルータスの心臓 東野圭吾


2005.7.10 恨みからの出世欲 【ブルータスの心臓】

                     
■ヒトコト感想
驚きや衝撃は少なかった。冒頭からロボットによる事件が起き、これがとてもミステリアスで何かその後の事件に重大な影響を及ぼすのかと思いきや・・・、せっかくのロボットも中途半端な印象だ。死体運搬リレーというのは新しさを感じたがそれに対する裏も何もなくストレートにトリックを使っていたのでちょっと物足りなかった。しかし、東野圭吾得意の恨みからの出世欲を持った男は良かった

■ストーリー
産業機器メーカーで人工知能ロボットの開発を手がける末永拓也。将来を嘱望される彼は、オーナーの末娘・星子の婿養子候補になるが、恋人・康子の妊娠を知り、困惑する。そんな矢先、星子の腹違いの兄・直樹から、同僚の橋本とともに、共同で康子を殺害する計画を打ち明けられ…。大阪・名古屋・東京を結ぶ完全犯罪殺人リレーがスタートした・・・。

■感想
完全犯罪殺人リレー。これを本作のメインと考えるのであればとてもよくまとまった作品だと思う。しかしどうしても今まで他の東野作品を読んでいると、メインのトリックをまたひっくり返すような別のトリックが現れたりするのだが、今回はそれが特になかったのが、ちょっと物足りなかった。

ロボットの暴走や跡継ぎ問題などを絡めながら、何かロボット開発に大きな謎が隠されているのかと予想していたが、それは考えすぎであった。しかし、冒頭のロボット事故などは何かとてつもない謎が背後に隠されているような持って行き方をしていたが、タネはあまりたいしたことがなかった。そこまでのテンションはとても高く楽しく読むことができたが、後半で謎が解けてくると、案外平凡なので盛り上がりに欠けてしまう。

多くの推理小説はトリックが分かると、あーこんなことかというような感想を持つことがままある、しかし東野圭吾の作品はトリック意外の部分がすばらしく、トリックに重点を置いていない作品が多いような印象を受けたが、今回の作品は トリックメインで考えていたような印象を受けた

最後までタイトルの”ブルータスの心臓”ってのが本作とどう関係しているのか分からなかった。




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