分身 東野圭吾


2005.5.16 タイトルだけで判断するな 【分身】

                     
■ヒトコト感想
内容がある程度タイトルから想像できる作品は多いだろう。 本作もクローン技術を用いてクローンを複製するとか、そんな話しだろうと予想していた。 正直その内容だと大して面白くも何ともないと思っていたが、 間違っていた。 やはりテーマが分かっていてもそこからどんな構成で物語を展開するかによって おもしろさが全然変わってくると思い知らされた。

■ストーリー
私にそっくりな人がもう一人いる。あなたにそっくりな人がもう一人。 札幌で育った女子大生と、東京で育った女子大生…。 宿命の二人を祝福するのは誰か。追跡と逃走の遥かな旅が始まるサスペンス。


■感想
タイトルからある程度想像し、ありきたりな物というわけでもないが、 クローン技術で分身だとそのままだあぁーなんてことを考えつつ読み進めてみた。 読んでいくうちに最初は嵐の前の静けさ的に静まりかえっていたが、 物語の登場人物が全て揃うころには、ミステリー部分もそうなのだが、 どうやって、物語が収束していくのかがとても気になった。

そのことが直接おもしろさに繋がっているかどうかはわからないが、 僕にとってはかなり興味深く読むことができた。 自分の出生を探すという行為の中に、様々な謎と伏線を絡ませ 先の展開が気になるような作りになっている。 読んでいてなかなか途中でやめる事ができなかった。

クローンの考え方や、複製された者の考え方など 独自の見解がかなり色濃く反映されているようだが、 とても的確に表現されていると思う。 今は人間のクローンは実現されていないが、もしされたら 本作のような気持ちを持つだろうと僕も思う。

タイトルとテーマだけで予想して、そのまま物語のおもしろさを判断してしまうのは キケンだと感じた。本当に必要なのは構成力だと思う。




おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp