墨攻


2007.4.8 一本筋の通った男たち 【墨攻】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
10万の大軍に蟻のように踏み潰されるはずの梁城。そこに颯爽と現れ一人で城の中を改革し梁城を守るために奔走する。その姿は正義のヒーローか、もしくは革命者のようにも見えた。平和を愛し、いたずらに人を殺すことを好まない。まさに非の打ち所のない男だろう。本作では革離が主人公だが、その周りの男達も一部の例外を除いてとてもかっこいい。趙軍の将軍もしかり。そんな中でも無能な王だけが、どうしようもない小物に見えた。

■ストーリー

戦国時代。趙と燕の国境にある粱城は、趙によって攻撃されようとしていた。10万の趙軍に対し、梁城の全住民はわずか4000人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが、間に合いそうもなく、粱王は降伏を決断する。墨家の革離(かくり)がたった1人で駆けつけたのは、その直後だった。兵に関する全権を粱王から与えられ、早速城を守る準備に取りかかる革離。趙軍の指揮官・巷淹中は革離を好敵手と見なし、やがて激しい攻撃を開始する。

■感想
有能で能力のある者は必ずといっていいほど、無能で自分のポジションだけを心配する王や家臣に疎まれる。本作も例外ではなく、非の打ち所のないすばらしい勇者である革離が趙軍から守りきった結果、城を追い出されることになる。その後の展開は簡単に察しがつく。ある程度王道をいっており、教訓じみた部分もある。

本作はなんと言っても将軍たちが熱い。智謀と策略を駆使しながら戦い、そして敗れていく。敵も味方も一本筋の通ったすばらしい将軍が多かった。根本的には革離であっても趙軍の将軍であっても平和を望んでいる。本作の隠れたテーマでもある戦いと平和の板ばさみを感じる場面が多数登場する。

男だけの暑苦しさの中に、一服の清涼剤のような女性がでてくるが、どうしても存在感がない。紅一点のはずだがあまり印象に残っていない。革離がこの女性になぜこれほどホレたのか、その必然性も微妙だった。作中に一人は綺麗どころを出さないと彩が寂しいからだろうか。

趙軍の将軍の潔さに比べると梁城の王はなんともいやらしい人物に感じた。すばらしい男達に囲まれているために、よりそれが際立っている。結末では
王の底意地の悪さが出たようなニヤケ顔ばかりが印象に残っている。



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