青い春


2007.7.31 後に引く衝撃的なラスト 【青い春】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
確か、原作をはるか昔に読んだ記憶がある。そのことをてっきり忘れて本作を見た。ベランダゲームのあたりで、既視感を覚えながら、突然、原作を読んでいたことを思い出した。行き場のないパワーをもてあまし、何もかも冷めている。圧倒的なほどの残酷感や閉塞感であったり、すべてが松本大洋の原作にマッチした雰囲気だ。見ていると、いつの間にか、忘れていた原作漫画の絵を思い出し、トラウマになりそうなほどの衝撃的なラストも思い出した。すべてはベランダゲームから始まっているのだが、原作を読んだ時の衝撃を思い出した。

■ストーリー

男子校・朝日高校の屋上でワルの高校生達が集まってあるゲームをしていた。その名も「ベランダゲーム」。屋上の柵の外に立ち、一番多く手を叩いた者が学校を仕切るという命を賭けた危険な伝統ゲームで、8回の新記録を出したのは物静かで冷めた新3年生・九條(松田龍平)だった。彼は将来の進路になんの夢もなく、できれば学校に残りたいと思っていたが、少しづつ自分の生き方について考え始めていた。そして親友・青木(新井浩文)や仲間達も、退屈な日々に苛立ちを感じ、時に暴力を振るいながらも自らの生き方について見い出そうとしていたのだった...。

■感想
ワルが集まるめちゃくちゃな高校で、一人冷めた目で周りを見つめる九條。ベランダゲームという衝撃的な内容と、ステレオタイプなワルではない主人公。かなり昔に読んだので、原作の内容を事細かに覚えているわけではないが、衝撃的な場面は覚えていた。ベランダゲームであったり、仲間の突然の変貌であったり。初めて原作を読んだ時もかなり衝撃を受けたが、見終わったあとには同じような衝撃を受けてしまった。

本作には熱いワルはほとんど登場しない。登場しても、すぐに画面からは消えてしまう。冷めたワルの対照的な人物として、熱いワルはダメな人物としても描かれてる。ただし、冷めたワルといっても、冷めていてもきっちりと仕事をするワルではなく、人生にあきらめてしまったような無気力感を感じさせるワルだ。真剣にならずとも何でもできてしまい、ベランダゲームでも根性を見せつけながら、冷めている。ちょっとかっこよく見えるが、本作に登場する青木のように嫌悪感を持つ場合もあるだろう。

青木と九條。この二人の関係が本作を面白いものにしているのだが、それが最後には崩壊し、すべてが無になってしまうようなラストは衝撃的だ。特に最後の映像は屋上の扉を開けた瞬間に、アオキがベランダゲームで
新記録をうちたてる映像。わかってはいるのだが、青木の思いに共感してしまうと、どうしてもトラウマになってしまう。

原作の雰囲気と面白さを存分に表現している良作。そしてラストはかなりインパクトがある。



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