悪魔のパス天使のゴール 


2006.5.7 リアルサッカー小説 【悪魔のパス天使のゴール】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
本格的なサッカー小説なのだろう。後半の試合描写は確かにサッカーを知るものにとっては非常に臨場感あふれサッカー観戦をしているような気分にさせられた。しかしサッカーをあまり知らない人にとってはイメージするのが難しいかもしれない。ただ文字を追っているだけで、映像的なイメージはできないだろう。サッカー選手のゴールにかける意気込みやその難しさ、それはある程度イメージできるが、小説として文字にされるとさらに強烈に印象に残る。W杯前に読むにはいいかもしれない。

■ストーリー

試合で活躍した選手が心臓麻痺で死ぬという事件が起こった。セリエAの日本人プレーヤー冬次の依頼で調査に乗り出した小説家・矢崎は、死を招く最強のドーピング剤「アンギオン」の存在を知る。イタリア、南フランス、キューバ…いくつもの罠が待ち受ける中、ついに冬次の身にも危険が迫る。

■感想
つい最近チェルシーとマンチェスターユナイテッドの試合を見た。それはプレミアリーグの優勝が決まる一戦ですでに試合は3-0とチェルシーの勝ちが決まったようなものだった。もちろんそれはチェルシーの優勝も意味していた。チェルシーにはキャプテンのJテリーがおり、テリーは試合中に足を負傷し走るのもままならないような状態だった。にもかかわらずテリーは交代しようとはせず優勝の瞬間を最後までピッチ(グラウンド上)で感じたかったのだろう。

これは2ヵ月後のW杯を考えると、すぐに交代したほうが本人にもイングランドにもいいはずだが決してそれはしなかった。やはり辛いリーグ戦での優勝の瞬間は何にも変えがたいものなのだろう。サッカーでの
優勝の瞬間や勝利の重要さ、それをまさに目の当たりにした瞬間だった。

小説内での擬似中田ともいうべき冬次。冬次の行動は中田に重なる部分が多く、読者もそうイメージするだろう。メディアでは寡黙な中田もプライベートではこんな感じなのかと想像することもできる。サッカーという90分間走り回る過酷なスポーツを極めた超一流選手の考え方や行動理念。それらすべてがこの小説を通して知ることができた。

終盤でのサッカー描写が理解でき、実名で登場する選手を一人ひとりイメージできるかできないかで本作を楽しめるかどうか分かれてくる。僕はサッカーをよく見るので、試合の臨場感を十分に楽しむことができた。



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