2006.4.4 何が本当の幸せなのか 【アカルイミライ】
評価:3
■ヒトコト感想
タイトルとは対照的に雰囲気は暗い。見終わってからも明るい未来が待っているとは決して思えない。未来に希望を持ち、今を省みず自由気ままに生活し、無気力に生きているように見えてしまう。今が不満ならば未来に希望を持つのは誰にでもあることだ、その危険性と儚さを暗に警告しているようにも感じてしまった。本作を見る時期によってはものすごく共感できたり、感化されたりもするだろう。しかし今現在の僕が見ると何者にも縛られない自由な生活を得るリスクの大きさを物語っているようにみえてしょうがない。それぞれの価値観が如実に感想にあらわれる作品だろう。
■ストーリー
おしぼり工場で働く雄二(オダギリジョー)と守(浅野忠信)。ある日守は社長夫婦を殺害し、やがて刑務所内で自殺。一方雄二は、音信不通だったという守の父・真一郎(藤竜也)と一緒に暮らすようになり、いつしか不思議な関係が築かれていく…。
■感想
最終的に祐二には明るい未来がおとずれたのだろうか。守の父親に言われた言葉がすべてを物語っているように感じた。「自殺するか刑務所に行くかだ!」。こんなことを言われては明るい未来も何もないだろう。恐らくこの後、祐二なりの幸せをみつけ、守の親父の仕事を引き継いで細々と生活していくのだろうか。それが本人にとっての明るい未来だったのかは本人にしかわからない。
自由気ままに生活することのリスクをこれでもかと大げさに表現している。おしぼり工場での仕事や守の親父の仕事。すべてが自由を求めた上でのリスクを物語っているのだろう。しかしそれが不幸せかどうかは本人の気持ちしだいだ。工場の社長の生活は一見幸せにみえるが、そこに幸せはない。見る人によっては今までの価値観をぶっ壊されかねない。
一般的な人生の勝ち組といわれる人々と祐二と守とその親父は遭遇する。そこには超えられない壁が存在することを感じていたのだろうか、その壁を未来になれば越えることができるのだろうか。祐二の夢に登場する未来にはその壁を越えることは決してなかったのだろう。未来に希望をもつことをいつか諦める時がくる。
何が明るい未来なのか、それはその時になってみなければわからない。多種多様な選択肢があるように思えて実は狭い世界でしか生きることができない現在に対して、何に幸せを求めるか。それこそが本当の明るい未来につながっていくのだと思った。
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