2006.1.7 納得いかないシリーズの締めくくり 【赤緑黒白】
■ヒトコト感想
Vシリーズのラストを飾るのだが、今回でVシリーズの謎が全て解明できたかというとそうでもない。
シリーズを通して懐かしい人物が登場したりと総集編に近いのだが、これで終わりなのかとちょっと
中途半端な気がしてならない。ある程度の区切りはつくと思うのだがこれで終わりかと思うと
ちょっと残念で仕方が無い。
複雑怪奇な事件が起こり、その動機というのがまた哲学的になってしまっている。
この方式だとどんな事件でも思うがままに起こすことができ、動機などは一切考えなくて良い。
とても便利な方法だが、これで読者を納得させるにはかなりの筆力が必要なのだろう。
■ストーリー
深夜、マンションの駐車場で発見された死体は、全身を真っ赤に塗装されていた。
数日後保呂草(ほろくさ)は、被害者の恋人と名乗る女性から、事件の調査を依頼される。
解明の糸口が掴めないまま発生した第二の事件では、色鮮やかな緑の死体が……!
■感想
紅子と保呂草、秋野とこのあたりの人物が人並みはずれた切れ者なのだろうが、シリーズを通して
どうしても紅子がフワフワしているというか、現実性がないキャラクターのせいなのか
あまりイメージできなかった。
仕事をせずに研究ばかりしている元令嬢。元旦那である林との関係もあいまいであるし
主人公でありながら、本作でもそれなりに活躍しているのだが、どうしてもここだけものすごく
虚構のような感じを受けてしまった。
それに比べると保呂草は多少無理があることをしているとはいえ、それなりに現実的なキャラであり
言動もまっとうな気がする。このシリーズは紅子と保呂草のどちらかが活躍する作品がほとんどなのだが
必ずといって良いほど保呂草が活躍する作品は面白く、紅子が活躍する作品はあまり面白いとは
感じない。
今回も保呂草がらみの事件ではとても興味深く読むことができたが、紅子が事件を推理し始めると
とたんに冷めてしまった。独特の思考回路からそうなるのだろうが、いきなり突拍子も無いことからはじまり
全てをお見通しというのもあまり納得できなかった。
シリーズの総決算としては懐かしい秋野が出てきたりと良かったのだが、
困ったときの四季頼みというか、またまた、
異常な犯罪者の裏には真賀田四季が隠れていましたというような流れになっているのには
ちょっと驚いたのだが、これは次回作でもある四季への布石なのだろう。
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