F.R.A.T.戦慄の武装警察


2008.3.27 容赦ない暴力の世界 【F.R.A.T. 戦慄の武装警察】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
強力な力を持った警察の精鋭部隊。そして、スクープを調査しようとする記者。裏の権力と暴力に染まった街で、どのようにして不正を暴くのか。流れ的にはわりとありきたりなのかもしれない。しかし、冒頭でいきなり強烈なインパクトを残すFRAT。何でもありで人間の心をもたないと思わせるような雰囲気。それに相対する記者はいかにも役不足な感はあるのだが、記者の上司はすごい。なんといってもモーガン・フリーマンだ。あの圧倒的な存在感と、寡黙な中に何かしっかりと答えを見つけているような沈黙。じっと睨むだけで、全てを告白してしまいそうな、そんな表情だ。直接的な対決はないが、FRATと記者との追いかけっこは定番だが面白い。

■ストーリー

警察の精鋭部隊FRATのメンバー、ディードは仲間と共にマフィアのアジトを捜査するが、同僚たちが銃撃戦の中でマフィアを次々に殺害していくことに疑問を抱き辞職する。一方、新聞記者ポラックもこの事件に不審を抱き記事にするが、上司に証拠がないことを指摘され会社をクビになる。ポラックは独自調査を始めるが…。

■感想
不正を働く側にも良心の呵責にさいなまれた人物がいる。そして、新聞記者に協力する。裏切りあり、不正ありで誰が味方で誰が敵なのか、わからなくなるほど不正が蔓延している。そして、その流れであれば、見慣れているだけに、余計な勘繰りを入れてしまう。最終的に事件が解決する直前になっても、まだ、実は裏で繋がっている人物が最後に登場するのではないかとすら思えてくる。裏の裏の裏をかいたが、そのまますんなり終わってしまったので、ちょっと尻すぼみのように感じてしまった。

警察組織の一員でありながら、マフィアとつながり、容赦ない銃撃戦で相手を殺していく。この圧倒的な暴力で相手を押さえつける部分には鳥肌がたった。まったく躊躇することもなく、ただ、思うがままに楽しむように相手を攻撃する。目が逝っているのも、その恐怖を増幅させているのだろう。暴力対報道の力。暴力は報道の自由を抑えるためにあらゆる手を使う。残酷なほどの攻撃に対しては見ていて心が痛くなるのだが、その分新聞記者の上司であるモーガン・フリーマンの力のすごさを思い知ることとなる。

街全体が不正と暴力に溢れ、どこまでも不正に汚染されている。四面楚歌の状態であっても必死に戦う新聞記者の姿には共感が持てる。物語としては、ある程度定番化しているのだろうが、暴力の度合いと新聞記者に協力する者のキャラクターによっては良くも悪くもなる作品に思えた。そういった意味では、本作は無難ではあるが、とても面白く優れた作品だとは思えない。

戦慄の武装警察というタイトルはどうなのだろうか。確か原題がEdison Forceだったので、そっちの方がぜんぜん良かったような気がする。



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