11文字の殺人 東野圭吾


2005.9.8 よくあるアリバイトリック 【11文字の殺人】

                     
■ヒトコト感想
本格的な推理小説。特に複雑なトリックを用いているわけでもなく 次々と起こる殺人から犯人を推理していく作品。 ある意味この人が犯人というのはありがちなパターンであり、反抗の根拠が平凡過ぎると感じた。 このパターンで行くと、「実は私が恋人だったんです」って感じで 誰でも犯人になることができてしまう。 もう少し、必然的な理由がほしかった。 タイトルの「11文字の殺人」というのも最後にちょろっとでてくるだけだ。

■ストーリー
「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。あたしの恋人が殺された。 彼は最近「狙われている」と怯えていた。そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。 女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。しかし彼を接点に、次々と人が殺されて…。

■感想
特別なトリックを使っていない変わりに、容疑者達からの証言から矛盾を探し出し アリバイを崩すことに重点を置いている。実際のアリバイ工作も実に単純なやり方で実現している。 こんな感じで複雑ではないのだが、登場人物達の心理的な駆け引きや心の葛藤などを 描いている。

様々な登場人達の個性はあまり感じられなかった。誰が誰で、どんなつながりがあるのかというのが 実際には説明されているのだが、途中で忘れさられてしまった。 無人島でのアリバイを聞いて回るシーンでは誰が何時にどこにいて、というのをアタマでは理解しているが 結果としてアリバイ工作があったことに対する矛盾にも納得ができなかった。 この辺は僕の理解力不足なだけかもしれないが。

殺人事件というからには必ず犯人が存在するのだが、実際に犯人だけが悪いかというとそうではない 偶然の殺人等ありがちなパターンだが、本作のようにあえて故意の殺人であっても それが必ずしも全て悪いという訳にはなっていない。 確かに本作を見ると、誰が一番悪いというのは結論づけることはできない。 強いてあげるならば、法的には全く罪はないが、その現場に居合わせ、 その後の殺人も予期できていながら何もしなかった人物が一番の悪人なのだろう。

11文字の殺人という謎めいたタイトルなのだが、その11文字というのが 登場してくるのは結末間近であり、これをタイトルにするにはインパクトがたりないような気がした。




おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp